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「人体に有害な液体が入った物も」北九州沿岸に大量のポリ容器 季節風と海流で漂着「韓国のノリ養殖で投棄」

西日本新聞 5/14(日) 11:47配信

 毎年冬から春先にかけて西日本の日本海沿岸を中心に大量のポリ容器が漂着する。北九州市では調査を始めた2008年以降、計約2500個が回収された。専門家によると、韓国で海上に投棄された容器が季節風や海流に乗って運ばれてきたとみられ、人体に有害な液体が入った物もある。環境省は「見つけても触れずに自治体に通報してほしい」と呼び掛けている。

■専門家「韓国のノリ養殖で投棄」

 同市は毎年12月から3月ごろまで月に1、2度の頻度で若松区の海岸線をパトロールする。職員が2人一組で岩場や砂浜を歩き回るが、多いのは外観にハングルが表記されている20リットル容器だ。08年以降に回収した容器のうち、ハングル表記のものは7割。芦屋町や岡垣町でも例年20~30個のポリ容器が回収される。

 環境省などによると、漂着が確認され始めたのは00年ごろ。15年度は全国で約2万個が流れ着き、ハングル表記は約2割を占める。容器内にカドミウムやヒ素などの毒性のある重金属が混じることもある。

 漂着ポリ容器について調査した東京海洋大の兼広春之名誉教授(環境材料学)は「多くは韓国のノリ養殖で使われたものだ」と説明する。海上でノリの網を酸性液に浸す殺菌作業「酸処理」が行われる際に使われるという。兼広教授は「一部の漁業者が効果の高い塩酸を使う。ただ、使用は違法なため、容器を海上で投棄している」と指摘する。

 では、どのようにして日本に流れ着くのか。海洋物理学が専門の磯辺篤彦九州大教授は「韓国で海面に浮いた容器は北からの季節風で南方に押し流される。それから対馬海流に乗って日本海沿岸に漂着する」と分析。「海を漂い続けるものもあるが、最短では10日ほどで海岸に到着する」という。

 国は08年から韓国政府に対し、ポリ容器投棄の実態調査を継続的に申し入れている。その効果か、北九州市内への漂着数は同年の約800個をピークに減少傾向にあるが、それでも今シーズンは67個に上った。このうち10個は人体に有害な液体が含まれており、環境省は「ポリ容器を拾った人が皮膚がただれるなど、けがすることもあり得る。外交ルートを通じて再発防止を訴え続ける」としている。

=2017/05/14付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:5/14(日) 11:47

西日本新聞