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「オンとオフの切り替えが無い」だから楽しい

ホウドウキョク 5/14(日) 18:30配信

落語家の方はみんなそれぞれの形で、落語というものに恋をしているのではないだろうか。この人にとって、落語はまさに「運命の人」だったようだ。

―落語との出会いは?
幼稚園からサッカーを始め高校もサッカー部でした。その頃にNHK『笑いがいちばん』を観たのが最初です。司会が爆笑問題さんで、落語よりは漫才やコントが好きでした。龍谷大で落研に入ったのも「落語好きですか?」ではなく「お笑い好きですか?」と勧誘されたから。そこで初めて『寿限無』を覚えました。関西出身者がほとんどの中で、それ以外の部員は江戸落語をやってもよかったんです。

在学中は落語家になりたいとは全く思わなくて、静岡に帰って就職しました。でも働き出してから1年経つか経たないかのうちに「なろう!」と。

実は、就職してからあえて落語を聴かないようにしていました。自分の中では「もういいだろう」という気持ちで。社会の歯車になるぞと入社したわけですから。でもある夜、疲れて家に帰ってふと落語のCDを聴いてしまった。そうしたらもう毎晩毎晩聴くようになって、週末や休日には東京に行って寄席通い。寄席では噺家がみんなキラキラしているんです。師匠の雷門助六を初めて観たのも浅草演芸ホールで、終始笑っていました。家に帰って今日の番組(プログラム)を思い出そうとしたら、師匠しか出てきませんでした。

―会社を辞める時に不安はありませんでしたか?
「入門するんだ」という気持ちが99%で、不安を感じる隙がありませんでした。辞める不安より入門を許されるのかという不安の方が大きかった。だから入門できて、最初は覚えることが多く大変でしたが後悔は全く無かったです。

今は家に帰った時が一番幸せです。サラリーマン時代は家に帰っても楽しくなかった。今は高座で落語をやって帰宅しても噺を覚えたりするからそこが仕事場。オンとオフの切り替えがなくて、ずっと楽しいんです。好きな噺を師匠や先輩方に教わって、それを自分がやってお客様に楽しんでいただく。本当にありがたい流れで、この幸せが続くよう上で笑って下で懸命に水を掻いて、進んでゆきたいです。

「オンとオフの切り替え」は楽しく仕事を続ける上で大切とされる。それが無いことが楽しい、と言い切る音助さん。オンとオフと言いながら私は時に逃げているのかもしれない。「運命の人」と暮らす毎日は、とても幸せそうだ。

2017年5月5日配信の雷門音助さんの落語『たらちね』より

最終更新:5/14(日) 18:30

ホウドウキョク