ここから本文です

「西川・日産」に早くも試練。シェア拡大に立ちはだかる意外な人

5/14(日) 15:10配信

ニュースイッチ

ゴーン流でルノーや三菱自のしわ寄せも

 強力なリーダーシップで日産自動車をけん引してきたカルロス・ゴーンの後任として4月に就任した西川(さいかわ)広人社長が、早くも試練を迎えようとしている。

 先日発表した2017年3月期連結決算は最終利益が8年連続で過去最高を更新したが、部品子会社の株式売却益の計上など特殊要因もあった。それよりも17年3月期の世界シェアは6・1%で、6カ年中期経営計画で掲げた目標値の8%には届かなかったことに注目すべきだろう。西川社長は「次の6年間で到達したい」と短期間での達成を暗に否定した。

 前の中期計画「パワー88」について西川社長は「前半に生産能力を増強した結果、事業の効率面で課題が残る」と総括。具体的には「ロシアやブラジルなど新興国への先行投資の刈り取りが十分できなかった。この宿題に対してスピード感を持って取り組む。小型車市場についても十分な収益を上げられる力を付ける」と話す。

 今の日産はトヨタ自動車、ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)と肩を並べ「規模で他社とハンディキャップがなく次のステージにいける」と西川社長。ルノー・日産連合に三菱自動車が加わり、約1000万台近くの販売規模になる。

 しかし単なる数字の積みあげで競争力が拡大するわけではない。ルノー・日産の世界戦略は、標準化を進め、共通化と規模拡大を競争力の源泉に置こうとする。しかし、もはやトヨタは規模以外にその源泉を見出そうとする。VWもホンダも考え方は変わった。数字合わせで伸ばそうとしても、三菱自が簡単にフィットし効果を発揮するとは言い切れない。標準化を進め過ぎれば、アジアに強い三菱自の持ち味すら失いかねない。

 しかもゴーン氏はルノーの再建と三菱自とのシナジーを自身の最優先ミッションとし、日産にそのしわ寄せがくる可能性も十分考えられる。

 西川社長は調達部門が長く、コスト削減で日産の再建を支えた。13年にはチーフコンペティティブオフィサー(CCO)に就き、ナンバー2まで一気に駆け上がった。ただ「売れるクルマづくり」の力量はまだ見せていない。

 大量に作って大量に売るというこれまでの単純なビジネスモデルは転換を迫られ、自動車産業の先行きは読みにくい。各地で普及するライドシェア(相乗り)も、どの程度のスピードと規模で拡大し需要構造にどんな影響をもたらすのか、専門家でも見方が分かれるところだ。西川社長は「多様なシナリオを前提にした選択肢を準備して機敏に実行する判断力が求められる」と話す。

 しかしゴーン氏の短期に結果を求めるという考えは今も変わらない。西川社長に「次の6年間」が無条件で与えられているわけではないのだ。

最終更新:5/14(日) 15:10
ニュースイッチ