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経済的理由で受診遅れ、青森県内で死亡2例

Web東奥 5/14(日) 10:25配信

 経済的理由などから、医療機関の受診が遅れ死亡したケースが2016年、青森県内で2件あったことが、全日本民主医療機関連合会(民医連)が、加盟する医療機関を通じて調査した結果、分かった。二つの事例に関わった健生病院地域連携室(弘前市)の担当者は、健康意識の低さや不安定な雇用環境による貧困、行政支援の限界など、さまざまな要因が絡み、最悪の結果になった-とみており、死には至らないまでも、重篤な状態で病気が見つかる人も多いという。
 死亡した二つのケースのうち、弘前市の男性(64)は、倉庫のような建物で、知的障害がある妻と暮らしていた。リンゴ農家の手伝いなどで収入を得ていたが経済的に余裕はなかったとみられる。2016年8月のある朝、男性が苦しそうにしているのを大家が見つけ救急支援を要請。健生病院に運ばれた時には既に心肺停止状態だった。
 男性は、国保料を滞納し、受診する際には医療費全額をいったん窓口で支払わなければならない「資格証明書」を交付されていた。
 また、16年3月には、極度に痩せ細った女性(88)が同病院に救急搬送されてきた。重度の敗血症や壊死(えし)性筋膜炎を患っており、数時間後に息を引き取った。
 同病院スタッフが親族らから事情を聞いたところ、女性は息子と2人暮らしで、1年前からほとんど動けない状態だった。風呂は数年間、入っておらず、バケツに排せつする不衛生な生活環境だったという。
 女性は、生活保護を受けており、受診しても窓口負担はないはずだった。同病院地域連携室のソーシャルワーカー工藤聡子さんは「病院に行くとお金がかかると勘違いして受診していなかったのではないか」と推測。二つの事例を振り返り「より適切な支援を受けられていれば状況は違っていた」と話す。
 同連携室の堀川恵副室長によると受診が遅れ重篤な状態になった人の多くが経済的な事情を抱え、健康に対する認識の甘さを後悔するという。同副室長は「津軽地方では、医療費や健康にお金をかけられない人も少なくない。貧困が健康意識の低さを招き、短命県の一因になっている」と指摘。「相談体制の充実など、行政と関係機関の一層の取り組みが求められる」と課題を挙げた。

東奥日報社

最終更新:5/14(日) 10:25

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