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東芝、経営再建に2つの「壁」 監査法人・米WDと対立 今後も存続に疑問符

SankeiBiz 5/16(火) 8:15配信

 東芝をめぐる2つの対立が経営再建の大きな壁になっている。2017年3月期決算では会計監査を担当するPwCあらた監査法人と対立し、適正意見が付かない会社側の試算値を15日に発表。半導体事業の売却では生産で協業する米ウエスタンデジタル(WD)と対立し、国際仲裁裁判所に売却の差し止めを申し立てられた。対立を抱えたまま前進する東芝に、市場の目は厳しさを増している。

 ◆適正意見なしの発表

 「監査法人とは決算手続きで協調する」「(入札参加者に)東芝の主張の正当性を説明をして、手続きを進める」

 15日の記者会見で綱川智社長はこう述べたが、監査法人やWDとの対立を打開するのは並大抵ではない。

 東芝の適正意見なしの決算見通し発表は、16年4~12月期に続き2回連続。PwCあらたは東芝の米原発子会社の経営陣が破綻原因の巨額損失を以前から認識していたとの疑いを持つ一方、東芝は同経営陣が認識していた証拠はないと詳しい調査を拒み、対立した結果だ。

 企業の決算は監査法人が適正だと意見を付けることで信頼性を保っている。東芝はPwCあらたと折り合いを付ける努力をするのが筋だが、この間、状況が変わらないばかりか、PwCあらたの担当会計士が監査作業から事実上離脱し、監査が一時止まっていた経緯もある。

 実は、東芝は4~12月期決算発表の前に監査法人を準大手に変更して適正意見を得ることを画策。しかし、新たな監査法人にとって都合の良い適正意見を出すのはリスクであり、後任が見つかるはずもなかった。監査法人の意見が不可欠な有価証券報告書の提出が6月末に迫る中、東芝はPwCあらたの調査要求を受け入れるほかなくなった。

 一方、半導体子会社「東芝メモリ」の売却が合弁契約に違反すると主張するWDとの溝は、WDが法的措置に出たことで決定的になった。

 ◆失いつつある信頼

 東芝は「会話ができないから放置する以外ない」(幹部)と他社と入札手続きを強行する構えだが、国際仲裁裁判所の判断次第では、手続きが進まずに東芝メモリ売却による財務改善計画が揺らぐ懸念もある。売却を前提に融資などで支援する銀行の疑念も深まりそうだ。

 決算の度重なる不手際や、来年3月末までの債務超過解消が不透明になったことで、東芝の上場廃止リスクは高まっている。関係先と対立を深める東芝は、再建に最も必要な産業界における“信頼”を失いつつある。(万福博之)

最終更新:5/16(火) 8:15

SankeiBiz