ここから本文です

<女子生徒殺害>娘の尊厳守りたい 遺族、匿名望まず

毎日新聞 5/15(月) 6:50配信

 東京都江戸川区のアパートで2015年、都立小岩高3年、岩瀬加奈さん(当時17歳)が殺害された事件で、強盗殺人などの罪に問われた青木正裕被告(31)の裁判員裁判が16日、東京地裁で始まる。加奈さんの父正史(まさし)さん(48)と母裕見子さん(49)は「娘は真面目な性格で、自分より他人を気遣う子だった。なぜ事件に巻き込まれたのか、本当のことが知りたい」と語る。

 青木被告は、15年11月12日に自宅のアパートで加奈さんを絞殺し、性的暴行を加えようとしたが目的を遂げず、加奈さんの所持金約7500円などを奪ったとして起訴されている。

 起訴罪名に強姦(ごうかん)未遂が含まれるため、今回の法廷では加奈さんの名前を匿名にする措置も可能だが、両親は「法廷で加奈の名前が出なければ、事件がなかったことのようになってしまう」と実名の公表を選択した。

 青木被告は、加奈さんと同じコンビニエンスストアでアルバイトをしていたことがあった。両親は「逮捕後、一部で『2人は交際していた』と報じられたが、事実ではない」と憤る。また加奈さんは「化粧品のサンプルがあるので家に来ないか」と誘われたと報じられたが、両親は「化粧をしない子だった。加奈の人のいい性格につけ込んで、もっと巧妙なうそで誘われたのではないか」と感じているという。

 加奈さんは高校1年の夏からコンビニでのアルバイトを始め、毎年夏にはバイト代で家族のために東京ディズニーランドのチケットを購入していた。高校では卓球部に所属し、試合の際に後輩にジュースやお菓子を差し入れるなどこまやかな心遣いをみせていたという。

 手先の器用さを生かせる職につきたいと、卒業後は歯科技工士専門学校への入学が決まっていた。事件の11日後の加奈さんの誕生日は、家族とディズニーシーで楽しく迎えるはずだった。裕見子さんは「加奈の未来には夢しかなかった。それを守ってあげられなかったのが悔しい」と言葉を詰まらせた。

 事件後、家族は周囲の何気ない言葉に傷つき「いろいろな人に負の感情を抱くようになってしまった」という。それでも前を向いてきたのは「加奈は事件で家族がおかしくなることを望んでいない」と思ったからだ。

 「公判で真実を明らかにし、加奈に『大丈夫、あなたは悪くない』と言ってあげたい」。両親は、被害者参加制度を利用し法廷で意見陳述などもする予定だ。【石山絵歩】

最終更新:5/15(月) 10:54

毎日新聞