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東芝、半導体売却手続き難航 WDと対立泥沼、日米連合も暗雲

SankeiBiz 5/16(火) 8:15配信

 東芝による半導体メモリー事業の売却手続きが難航している。合弁相手で他社への譲渡を認めない米ウエスタン・デジタル(WD)との対立が行く手を阻み、理想的な売却先と期待する日米連合にも課題が山積している。売却で2018年3月末の債務超過解消を目指す同社にとって、綱渡りの経営が続く。

 東芝は4月1日に半導体メモリー事業を分社化して「東芝メモリ」を設立し、入札を進めている。売却先候補にはWDのほか、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)や官民ファンドの産業革新機構から成る日米連合も残っている。19日に2次入札を締め切り、6月中に売却先を決める予定だ。

 しかしWDは、売却が合弁契約に違反していると主張。東芝は、WDの同意が必要ないとする警告書簡を3日に送付して対抗した。

 10日には、綱川智社長がWDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)と面会したものの、「ひたすら自分たちの主張をするだけ」(東芝幹部)に終わった。

 WDは14日、売却差し止めを求める申立書を国際仲裁裁判所に提出、強硬手段に打って出た。東芝も、共同運営する四日市工場でWD社員の情報アクセスを16日にも遮断する予定で、対立は泥沼化する一方だ。

 綱川社長は15日の会見で「WDが(元々の協業相手だった)米サンディスクを昨年買収した際にも東芝の合意は要らなかった」と強調。予定通り19日に2次入札を締め切る方針を示したが、仲裁が足かせとなる可能性も否めない。

 一方、日米連合にも暗雲が漂う。一部で検討されてきたWDの合流案は、東芝とWDの対立で可能性が低くなった。経済産業省と経団連が連合への参加を呼びかけている日本の事業会社で、出資検討の意向を示しているのは富士通のみ。一定数の参加を確保できなければ、革新機構は「次世代の国富を担う産業を創出する」という基本方針から外れ、支援が難しくなる。

 足元の半導体メモリー市況は上向いている。このため手続きが長引いても企業価値が上がり、かえって好条件を引き出せるとの見方もある。だが、債務超過を解消できなければ上場廃止となり、東芝の存続自体がおぼつかなくなる。(井田通人)

最終更新:5/16(火) 8:15

SankeiBiz