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<震災関連死>熊本市長、女児の両親に謝罪

毎日新聞 5/15(月) 7:10配信

 熊本地震で損壊した熊本市立熊本市民病院(同市東区)から転院後に亡くなり、震災関連死と認定された熊本県合志(こうし)市の宮崎花梨(かりん)ちゃん(当時4歳)の両親と大西一史熊本市長が14日、市役所で面会した。大西市長は「小さな命を守れなかった」と謝罪した。移転新築する市民病院の建設に当たり、両親らの意見を聞く機会を設ける意向も示した。

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 面会は大西市長の希望で実現し、花梨ちゃんの父貴士さん(38)と母さくらさん(38)は遺影を持参した。市長と市民病院の高田明院長が、耐震化が遅れるなどし転院せざるを得ない状況になったことについて謝罪。両親は「私たちの経験や転院した患者さんの意見を病院づくりに生かしてほしい」と要望した。

 花梨ちゃんが入院していた南館は耐震基準を満たしておらず、昨年4月16日の本震で損壊。心臓病手術を受けた後に肺の合併症を患い集中治療室にいた花梨ちゃんは福岡市の病院に転院した後に体調が悪化し亡くなった。

 大西市長は毎日新聞の取材に対し「(病院が)安全であれば移動しなくても済んだのではないか。責任者として申し訳ない気持ちだ。花梨ちゃんの死を無駄にしないために患者さんやご家族と向き合いたい」と話した。

 面会を終えた貴士さんは「伝えたかったことがしっかり市長に伝わった。いい病院をつくってくれると信じたい」と期待した。【山下俊輔、城島勇人】

 ◇災害に強い病院づくりを

 花梨ちゃんが亡くなってから1年余り。大西市長との面会が実現し、両親は「同じことを繰り返してほしくない」との願いを直接訴えた。花梨ちゃんが好きだったぬいぐるみも持参し無念さを伝えた両親は、市長が患者側の意見も取り入れ病院の再建を進めるとしたことに安堵(あんど)した様子だった。

 耐震基準を満たしていなかった熊本市民病院は建て替えが予定されていたが資材高騰などを理由に地震前に凍結されていた。全国を見渡せば財政上の理由などから耐震化していない病院はまだ数多くある。

 面会を終えた母さくらさんはそうした病院に向けてこう言った。「『もし自分のところだったら』と想像してほしい。何よりも優先すべきは命」。花梨ちゃんが投げかけた教訓を無駄にしないよう、最後のとりでであるはずの病院の耐震化を熊本市だけでなく全国で進める必要がある。【山下俊輔】

最終更新:5/15(月) 7:10

毎日新聞