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石橋静河、親譲りの存在感 若き孤高さ、「愛想のない演技」で表現

夕刊フジ 5/15(月) 16:56配信

 次々と新しい才能が現れる芸能界で最近、気になる女優がまたひとり。13日公開「夜空はいつでも最高密度の青色だ」で主演している石橋静河(22)。映画、舞台、CMで存在感を示してきた。

 石井裕也監督(33)は、先日の完成披露舞台あいさつで、石橋を「親譲りか、どっしりしている」と評した。

 両親は俳優の石橋凌(60)と原田美枝子(58)。「中学卒業と同時に北米に留学し、コンテンポラリーダンスを身につけた。もともとダンサー志望だが、演技の分野にも活動の幅を広げてきた」と映画ライター。親の七光りでハイ、デビューという安易な路線は歩まなかった。

 長い題名の映画は同名詩集が原作。小説や漫画から生まれる映画は多いが、詩集が原作は極めて珍しい。詩人の名は最果タヒ(さいはて・たひ、30)。映像喚起力のある詩のようで、フジテレビオンデマンド「さいはてれび」では、若手監督が同氏の詩にインスピレーションを得た作品を発表している。

 映画「夜空は~」で石橋が演じるのは、上京し看護師として働きながら夜はガールズバーで働く女。何かを抱え込み、おいそれと心を許さず、人の顔色をうかがうこともない若き孤高さを“愛想のない演技”で表現している。これがいい。

 「笑顔を振りまき、恋愛に右往左往するアイドル映画にはない、風変わりな青春映画。相手役の池松壮亮もですが、役の抱える重さ、憂鬱な心象心理が伝わる。男も女も生き方がまったく不器用。でもきちんと希望も描かれていて、後味もいい。詩集の世界観が見事に映像化されています」とベテラン映画記者は感嘆する。

 同世代には二階堂ふみ(22)や松岡茉優(22)のように独特の空気観を持った逸材が多いが、どのカテゴリーにも属さない匂いが石橋にはある。制作者サイドも、そこに目を付けた。まんまと成功している。

 石井監督は、辞書編集者の世界を描いた「舟を編む」で、第37回日本アカデミー賞の主要部門を総なめにしている。

 今作では、映画の登場人物に近い視点で、気づくと人を分け隔てて取捨選択を繰り返す東京という街でもがかない、投げ出さない、脱力しない若い男女の姿を描ききる。

 石橋静河を見るためだけでも、何度でも足を運びたくなる映画だ。

最終更新:5/15(月) 16:56

夕刊フジ