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人生にじむ油絵 米寿の女性、33年ぶり個展 三田

神戸新聞NEXT 5/15(月) 8:31配信

 40代のころ油絵を始め、心にとまった風物や大切な人たちを描いてきた塚本せつさん(88)=兵庫県三田市上相野=の個展が14日、地元の上相野公民館で始まった。個展は約33年ぶりで、米寿を迎えて「お世話になっている皆さんに見てほしい」と企画。「昔のことは、だいぶ忘れてきましたなー」と笑うおちゃめな人柄と、山あり谷ありの人生がにじむ45枚が並ぶ。(山岸洋介)

 大阪市の商家に生まれた塚本さんは戦争で焼け出され、19歳のとき三田へ疎開。終戦後、上相野の4歳年上の浩一さんと結婚した。

 幼いころから絵が好きで、嫁ぎ先で初めて描いたのは、三田で当時よく採れたマツタケの絵。それを看板代わりに、夫婦で大阪へ行商に出て「マツタケ大安売りですよ」と売り歩いた。

 家事の傍ら絵筆を握るようになり、三田で最も古いとされる絵画グループ「十二秋社」で腕を磨いた。師と仰ぐ当時の会長に「こびることなく、恥じることなく描きなさい」と教わり、力強く思い切りのいいタッチが持ち味となった。

 市展で入賞・入選を重ね、55歳で初個展を開いた。「還暦でもう一度」と考えたが、多忙で作品もそろわず断念したという。

 ここ数年は肺がんや足の骨折に見舞われ、夫にも先立たれた。だが、持ち前の明るさと気力で元気を取り戻し、同じデイサービスに通う人にデッサン画の肖像を描いてあげ、感謝されることに喜びを感じている。

 今回は、知人宅の家畜を描いた「牛」や、実父に感謝を込めた「亡父」、雨乞い祭りをとらえた「百石おどり」など、8~100号の絵を出品。「縁を得た方々に恵まれ、幸せな日々。絵を見て笑顔になってもらえたら」と話す。17日まで。

最終更新:5/15(月) 9:03

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