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【上州この人】とみおか繭工房リーダー・佐藤祐一さん(35)

産経新聞 5/15(月) 7:55配信

 ■養蚕業衰退マンパワーで克服

 障害者雇用支援事業を行うサンクステンプ(本社・東京都中野区、中村淳社長)が旧富岡市立妙義幼稚園に開設した「とみおか繭工房」が6月から事業を開始する。地域の障害者を雇用、養蚕業に取り組むものだ。養蚕技術責任者で工房リーダーの佐藤祐一さん(35)に今後の意気込みなどを聞いた。(椎名高志)

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 --この3月まで富岡市の地域おこし協力隊員を務めていました

 「富岡市出身で実家は祖父の代まで養蚕農家だった。隊員になった平成27年には東京に住んでいたが、富岡製糸場を支えていた川上の養蚕業が絶滅の危機にあり、養蚕振興の人材としての協力隊員を求めていることを知った。地元に貢献する形での帰郷をしたいという気持ちも強く手を上げた」

 --隊員としての活動は

 「メインとしては製糸場で蚕の生体通年展示をゼロから立ち上げたこと。生きた蚕を見たことのない人が多く、本物の蚕を見せることで養蚕の認知度を上げることが目的だった。展示は30~40頭、500頭前後を飼育した」

 --工房に参加する経緯を教えてください

 「昨年6月に生体通年展示を取り上げた新聞記事を見た中村社長から電話があり、7月に初めて会った。話をするうちに、企業養蚕には養蚕業の衰退の流れを乗り切る可能性があるかも、と思った。9月には参加の意思を固めた」

 --企業養蚕の可能性とは

 「養蚕は夫婦2人でやるなら重労働だが、企業養蚕ならマンパワーによる分業で作業は容易になる。弊社は来年1トン、再来年3トンの繭生産を目指しているが、普通の農家で1トンならすごい農家と言われる。そうした意味ではスケールメリットも大きく、プラス増産に貢献できる」

 --障害者雇用にはどう向き合いますか

 「一人一人の特性を見極めながら、やれる作業、やれない作業をみていくが、基本的には全ての作業をやってもらおうと考えている。将来的には30人を雇用するので、作業のあり方として分業するのか、チームにするのか-など皆と話し合いトライエンドエラーを繰り返しながら確立していきたい」

 --仕事ぶりに期待することはありますか

 「横浜にある障害者のクッキー工場を見学したが、型抜き作業を寸分の狂いもなく延々とやっていた。集中力とパフォーマンスの維持力はすさまじい。養蚕でも、ひとつの作業のプロフェッショナルが誕生する可能性はある」

 --クワの和紙づくりも行いますね

 「夏と冬の仕事と考えている。現在では生産量や品質など未知数というのが正直な状況。養蚕事業を含めてだが、地域の知見のある元気な高齢者たちに協力をいただきながらやっていこうと思っている」

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【プロフィル】さとう・ゆういち

 昭和57年5月、富岡市出身。平成14年、東京にあるスポーツトレーナーの専門学校を卒業後、セントラルスポーツ入社。スポーツインストラクターなどで9年間勤務した後、フィットネスメーカーに転職。教育関係の会社の起業を経て27年10月に富岡市地域おこし協力隊員。

最終更新:5/15(月) 7:55

産経新聞