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<母の日>遺族女性、花届けた学生に「息子の分まで生きて」

毎日新聞 5/15(月) 9:30配信

 「母の日」の14日、宮城県女川町の銀行に勤務していた長男健太さん(当時25歳)を東日本大震災の津波で亡くした田村弘美さん(54)へ、ボランティアの大学生らがカーネーションを届けた。息子の無念が忘れられぬよう、同町の被災現場近くで伝承活動を続けている田村さんは「息子からの贈り物と思える」と喜び、学生たちに「息子の分まで命を全うして」と願いを託した。

 カーネーションは、町の復興支援活動をしている一般社団法人「コミュニティースペースうみねこ」(八木純子代表)が全国からの支援金で準備。東北大の学生らが配達に協力し、災害公営住宅や仮設住宅に暮らす女性約80人に加え、女川で活動する田村さんにも贈ることにした。

 健太さんは七十七銀行女川支店で勤務中に津波にのまれた。大崎市に住む田村さんは、夫の孝行さん(56)とほぼ毎週末、車で約1時間かけ同町に足を運び、企業防災の必要性を伝えている。

 花を受け取った田村さんは大学生に、健太さんへの思いを語った。「大学で上京した息子が就職で地元へ戻ってきたのは親孝行だったと思う。もっと自由にさせてあげればよかったかな」。悔いをにじませながら「こうなった以上、息子の命を生かしたい。この活動は息子を生かすこと。記憶にとどめてもらえたら」と力を込めた。

 花を手渡した東北大3年の新海颯大さん(20)は「お母さんの立場から、生きる大切さを語りかけてくれた。自分の命をどう守ればいいのか、考えて生きていきたい」と受け取った言葉をかみしめた。【百武信幸】

最終更新:5/15(月) 9:30

毎日新聞