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70万本以上を販売、DMMが切り拓くVR市場の最前線とは

Impress Watch 5/15(月) 12:00配信

 本誌ではこれまでに、スマートフォン向けを中心として、さまざまな「VR」(Virtual Reality)関連のニュースを掲載している。ハードウェアやコンテンツ配信サービスが次々に立ち上がる一方で、課題や注目ポイントとされてきたのが、「市場はあるのか」という問いであり、3Dテレビのように「一過性のブームで終わるのではないか」という懸念だ。

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 そこで今回は、VRコンテンツの配信事業を、当初からタイトル毎に有料で販売するというビジネスモデルで立ち上げたDMM.comの担当者に話を聞き、一般作品・アダルト作品を含めた「VRコンテンツ」の最前線で起こっている現象、その市場性や将来性を探った。

 インタビュー取材には、DMM.com 動画配信事業部 営業マネージャーの木村知憲氏に対応していただいた。

■1400本以上をラインナップ、1本で売上5000万円以上の大ヒット作も――最初に、「DMM.com」における最近のVR対応コンテンツの状況を教えてください。

 2016年の11月10日にVRコンテンツの配信を開始し、半年が経過していますが、配信タイトル数は、一般・アダルト作品を含め、5月初旬時点で1400本以上になりました。サービス開始当初のタイトル数は100本程度でしたが、月に200~300本程度追加している形です。

 売上も右肩上がりで、最近ではVRコンテンツだけで単月の売上が1億円以上になっています。アダルト作品の中には、1本で数百万円、数千万円を売り上げるタイトルも出てきています。もちろん、こういう配信サービスではすべての作品が好調に売れてばかりではないですが、全体の売上は伸びている状況で、ニーズが合えば買ってくれるユーザーもいるという状況です。

――かなり好調なようですが、事前の予想と比べてどうだったのでしょうか?

 正直なところ、具体的な数字は予測していませんでした。2016年は“VR元年”と言われていましたし、それ以前にも実験的なコンテンツを提供していました。ハードウェアなどを含めて普及はまだまだこれからという中でしたが、「乗り遅れるのは問題なのではないか」「まずは出してみよう」という考えでリリースしたのです。収益という意味でも、初期コストは上回り、想像していたより売上は立ちましたね。

 VRコンテンツのリリースに合わせて、スマートフォンに装着する簡易VRゴーグルもオンラインで販売しましたが、初期はすぐに1000個以上を販売するなど好調でした。

――1本で数千万を売り上げるタイトルというのは、DMMの中でもすごいのでしょうか。

 普通の(VRではない)動画配信でも、それぐらいの売上になるタイトルはなかなかありません。根強いファンがたくさんいるなどの、潜在層がしっかりいるというのなら分かりますが、対象ユーザーがあいまいな中でここまで売れたのには驚きました。

 実際にVRコンテンツのあるタイトル(アダルト作品)は、単体で累計5000万円以上の売上になっています。売上が1000万円以上のタイトルもいくつか出てきています。これはパッケージの販売に換算すれば何万本というレベルです。(アダルト作品の)DVDの販売でも、ここまで本数が出るタイトルはなかなかありませんね。

■「スマホ+VRゴーグル」が大多数――最近ではDMMのVRコンテンツが「PlayStation VR」(PS VR)で見られるようになるなど、徐々に環境も拡大していますが、ユーザーの視聴環境はスマートフォンが中心でしょうか?

 圧倒的に多いのが、スマートフォンと簡易VRゴーグルという組み合わせです。DMMのVRコンテンツを視聴する際に利用するアプリは、一般的なスマートフォン向けが過半数を占めています。そのほかでは、サムスンの「Gear VR」向けアプリがあり、最近「PS VR」向けが加わったという形です。

 スマートフォンでもミドルクラス以上のスペックを持つユーザーは、コンテンツの購入にも積極的な傾向があります。ただ大半のユーザーは、簡易VRゴーグルの環境で、お試し的に買ってみた、というケースがほとんどだと思います。

――VRコンテンツを複数、積極的に購入するユーザーの割合というのは、通常の動画配信と比べて異なるのでしょうか?

 ユーザー1人がVRコンテンツを購入する割合は公表していませんが、通常のコンテンツとあまり変わらないですね。

――VRコンテンツを買いたくなるようなキャンペーンや、買いやすくする施策などは検討されていますか?

 DMMはコンテンツの制作しているわけではないので、まずはコンテンツを集まりやすい場所にするというのが重要だと考えています。

 「PS VR」に対応した取り組みなども関連しますが、DMMにコンテンツを提供すればいろいろな場所で展開できる、そういう環境を整えることで、よりコンテンツが集まりやすくなります。「DMMに提供すれば売れそう」と思ってもらえるのが大切です。

――VRコンテンツの制作側に対して、技術支援や、制作ノウハウのフィードバックを提供して、品質の底上げや安定供給を図る取り組みなどは考えていますか?

 技術支援や制作ノウハウについては、コンテンツを制作しているわけではないので、提供していません。プラットフォームとして一般的な、売れている作品の情報や傾向というのはフィードバックしています。

――ユーザーのレビューを見ていると、撮影手法や映像の制作ノウハウに言及しているコメントが散見されます。作る側も見る側も、映像体験として未知の領域であるという、VR映像ならではの状況に思えます。

 確かに、ノウハウを蓄積している制作会社はあり、実際の売上にもつながっているようですね。

■Daydreamは「興味アリ」、HTC Viveなどにも対応へ――DMMのVRコンテンツは大半がスマートフォンで見られるということでしたが、Googleが海外で提供を始めているAndroid上のVRプラットフォーム「Daydream」への対応についてはどうでしょうか? 日本でも対応スマートフォンの販売がようやく始まる段階です。

 もちろん興味はあります。対応スマートフォンは日本でも出てきますが、現時点ではDaydreamの日本市場向けの正式発表はまだですし、日本向けの正式発表をみて対応していく考えです。

――VRコンテンツの展開について、スマートフォン向け以外についても伺いたいと思います。PC向けにはハイエンドな環境として「HTC Vive」「Oculus Rift」がありますが、これらへの対応は行うのでしょうか?

 対応は予定しています。

――それは「Steam」などのプラットフォームに参加する形でしょうか?

 「HTC Vive」「Oculus Rift」はどちらもPCと組み合わせて利用するデバイスですし、VRコンテンツの購入は、PC上でDMMのWebサイトから行えます。Steam内で販売するといったことではなく、PC向けに、DMMのVRコンテンツ専用のプレーヤーアプリケーションを提供する形になる予定です。

■スマホを中心に拡大、ライブ配信にも注目――DMMのVRコンテンツの今後の方針ですが、現在の状況から鑑みて、基本的にはスマートフォン中心という形でしょうか?

 現在はスマートフォンと簡易VRゴーグルの組み合わせが中心ですし、興味本位やお試し感覚で見られている形だと思います。ただ、規模は大きくなっていますし、ミドルクラス以上のハードウェアにもしっかりと対応しつつ、といったところです。コンテンツがないとダメですし、良い意味で盛り上がっている感じを出して行きたいですね。

――VRコンテンツで注目しているポイントや分野はありますか?

 ライブ(生放送)のVRコンテンツは、海外でも伸びると言われていますし、すごく注目しています。

――本日はありがとうございました。

ケータイ Watch,太田 亮三

最終更新:5/15(月) 12:00

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