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「ハースストーン」、プロダクションディレクター ジェイソン・チェイズ氏インタビュー

Impress Watch 5/15(月) 12:20配信

 Blizzard Entertainmentは5月14日、Android/iOS/PC用オンライン戦略カードゲーム「ハースストーン」の大型大会「Hearthstone Championship Tour Japan Major」のオフライン決勝を開催した。会場には「ハースストーン」のプロダクションディレクターを務めるジェイソン・チェイズ氏が訪れていた。チェイズ氏は、ゲームの開発を管理し、「ハースストーン」を今後どのように展開していくかという戦略立案に携わる人物。

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 今回は1時間に及ぶメディア合同インタビューで、先月実装された拡張版「大魔境ウンゴロ」のコンセプトや環境への影響をはじめ、「ハースストーン」の今後の展望などを聞くことができた。その模様をお届けしたい。

――「大魔境ウンゴロ」ではクエストが大きな新規要素となりましたが、実装後のプレーヤーの反響はいかがですか?

チェイズ氏: ほとんどのプレーヤーがポジティブな反応をしていると感じています。どのクエストを選択し、どのように展開していくかという選択が各プレーヤーのプレイスタイルによって差が出ていて、新たな戦略が生まれた新鮮なメタだと思います。

――「大魔境ウンゴロ」実装から1カ月が経過しましたが、どのような感想を持っていますか?

チェイズ氏: 新たな拡張パッチはエキサイティングで、同じクラスの中でも様々なタイプのデッキが見られて面白いと思っています。さらにそこにクエストの選択もあり、ダイバーシティ(多様性)を感じています。

――今回の「大魔境ウンゴロ」は成功といえますか?

チェイズ氏: 各ヒーローが使われ、しかもその中で違ったデッキが採用されているということから、成功したと考えています。例えば今まであまり活躍できていなかったプリーストに、ピュリファイプリーストやドラゴンプリーストといった新しいデッキ構成が生まれたりと、環境に大きな変化が生まれました。

――適応のコンセプトはどのようなものでしたか? またその10種類の効果はどのように決定したのですか?

チェイズ氏: 「大魔境ウンゴロ」は恐竜がテーマで、進化や変化をコンセプトとしています。単純な強さよりも、プレーヤーに場面に合わせた選択をさせることで、プレイする楽しさを優先するように設計しました。

――ウンゴロでメタがアグロからコントロールよりに傾きましたが、プレイ時間の延長はPCでのプレイを促進する狙いがあったのですか?

チェイズ氏: 機種による制限は全く考えておらず、そうした狙いはありません。現在のプレイ時間は平均8―10分となっていまして、特段長くなっているとも思っていません。

――現環境では「クエストローグ」が上位メタに来ていますが、これは設計段階で意図されたものですか?

チェイズ氏: 確かに「クエストローグ」が強力なデッキであることは把握しています。しかし、データによればTier1ではなく、“強すぎる”わけではないので問題にはしていません。ただし、手札によっては1ターンに20ダメージものバーストを出せてしまうので、それに関しては懸念しています。

――「クエストローグ」のバーストダメージを調整する予定はありますか?

チェイズ氏: 複数のミニオンに「突撃」を与える効果を持っていた「ウォーソングの武将(注:現在は「突撃を持つミニオンの攻撃力を+1」に変更)や、低コストで出せていた「突撃」持ちの「リロイ・ジェンキンス(注:現在はコスト4→5に変更)」等のように、対抗策の整う後半ならまだしも、序盤から「突撃」を用いたバーストダメージの対策は困難なため、問題視はしています。

――個人的には「クエストローグ」がクエスト達成後に「突撃イノシシ」の展開と回収を繰り返して5ダメージを複数回出せるのが理不尽に感じています!調整の予定などはありますか?

チェイズ氏: ありがたいフィードバックです(笑)。今後のデザインにも参考にしていきます。

――現状「クリスタルコア」発動下の相手ミニオンに「ポリモーフ」を使用してもステータスが5/5のままなのは仕様ですか?

チェイズ氏: 「ポリモーフ」は本来大型ミニオンの対策となるカードなので、今後デザインチームと検討していきます。

――海賊ウォーリアーのアンチメタとして「ゴラッカクローラー(場に出たときに海賊1体を破壊し、ステータス+1/+1を獲得する効果)」が実装されましたが、海賊ウォーリアーデッキの強さは変わらないどころか「ゴラッカクローラー」をデッキに組み込む構成すら生まれています。これは想定されたことですか?

チェイズ氏: 海賊ウォーリアーデッキは、昨年の「仁義なきガジェッツァン」では協力なデッキであったことは把握しています。しかし、現状思っているほど強いデッキではなく、バランスは良くなっているので問題はないと考えています。「ゴラッカクローラー」が海賊ウォーリアーのデッキに入っていることが特に問題だとは思っていませんし、開発段階でも特定デッキのアンチメタとしての運用も特に考えてはいませんでした。

――新規カードの実装に際して、あらかじめ新たなメタを想定して設計しているのですか?

チェイズ氏: 特定のヒーローが強すぎる、あるいは弱すぎるということがあれば調整を加えるなど、メタに関してははもちろん考慮しています。しかし、全てのヒーローが常に対等だったり、トップにいられるわけではありません。ブリザードの主な仕事はコミュニティが健全なメタを作るためにツールを与え、プレーヤー自身に考えてもらうことであって、現状の環境に変化を与えることこそが最も大事なのです。

――カードの調整や、新カードの実装はどのように行なわれているのですか?

チェイズ氏: 調整については、このカードは強すぎる、あるいは弱すぎるということで、デザイナー同士で喧嘩が起こることもあります(笑)。カードのデザインには二つのプロセスがあります。一つは、環境に埋もれてしまったカードに注目して、再び登場させるための「トップダウン」です。今回の「エリーズ・スターシーカー」などがそうで、主役である「エリーズ」にどのような機能を与えればスタンダード環境に戻ってこられるかを考えました。反対にメカニックや機能を先に考えて、テーマに合わせてカードを作る、というのが「ボトムアップ」方式です。機能を先に考えてから強さを検討して実装ということになります。

――今後、今回登場した「クエスト」のような新たな要素の実装はありますか?

チェイズ氏: 拡張はテーマに合わせた機能を考えているので、「クエスト」についてコミュニティどれほどの人気が得られるかにもよりますが、次に実装されるのはまた違った形になると思います。今回の「大魔境ウンゴロ」は探検がメインのテーマだったので、クエストという機能がぴったりだったのです。

――「ヒロイック酒場の喧嘩」ワイルドで実施されましたが、スタンダードとはルールが全く違います。ヒロイックは今後もワイルドでやるのですか?

チェイズ氏: 今年はワイルドのイベントや大会も企画していまして、今後も積極的にサポートしていきたいと思っています。それぞれ別の楽しさがあるので、あくまでメジャーはスタンダードで、以前のコンテンツや今は使えないカードも含めたワイルドも並列でサポートしていきます。

――次の拡張パックやアドベンチャーなどの実装予定はありますか?

チェイズ氏: もちろん考えています。今は3つのコンテンツを同時に開発しており、今年の夏、年末、来年の2018年頭ごろに実装予定です、詳細はblizzconで発表できればと思います。3つのコンテンツを同時進行で開発することで、時間的な余裕が生まれ、「ハースストーン」の進むべきビジョンをスムーズに設計することができています。また、今までは拡張パックとアドベンチャーが別々のコンテンツになっていましたが、次のアップデートからは統合される予定です。しかし、かなり先のことを考えているので、開発中のものが現状の環境と乖離してしまうことが懸念されます。その対応をなるべく迅速にできるようにするのが今後の課題です。

――「お見事!」などのエモートはプレーヤーによっては「煽り」ととられることもありますが、エモートの追加や、エモートに代わるコミュニケーション機能の拡張などの予定はありますか?

チェイズ氏: かつて「Great job!」など、エモートを増やすことも検討しましたが、どのようなエモートも悪用されうるので難しい部分です。数カ月のうちにエモート数の増加ではなくて、エモートに関する新たなアイデアをを実装する予定です。詳細はイベントで発表する予定です。

――エモートを常時オフにする機能の実装予定はありますか?

チェイズ氏: コミュニティからの要望が多いことは理解していますが、コミュニケーションを遮断してしまうとAIを相手にしているのと変わらなくなってしまうので、実装の予定はありません。

――個人的に気に入っているカードがあれば教えてください

チェイズ氏: 「ロード・ジャラクサス」や「希望の終焉ヨグ=サロン」です。ランダム性が強く、何が起きるかわからないクレイジーさが楽しいので。これらのカードのようにプレイすることによってストーリーが生まれるカードが好きですが、ゲームバランス的な面の調整は難しいところです。

――チャットの実装予定はありますか?

チェイズ氏: フレンド間でのチャットは既に実装されていますが、はじめから対戦相手とのチャットは実装しないということを決めていました。安全で誰でも楽しめる安全なゲームの環境を保つため、今後も実装の予定はありません。

――日本プレーヤーが増えたり、盛り上がりを感じることはありますか?

チェイズ氏: 大会などに日本人選手が上位に入賞することも増えてきていますし、トッププレーヤーと呼ばれる選手も増えてきていますので、大事なマーケットだと認識しています。日本における「ハースストーン」の成長を感じますが、もっと発展の余地もありますし、これからもサポートしていきたいと思っています。

――プレイステーション 4や、Nintendo Switchへの移植の可能性はありますか?

チェイズ氏: 現状ではPCとモバイルでプレーヤーの大部分はカバーできていると感じているので、移植の予定はありません。しかし、コミュニティからの要望が多いようであれば検討します。

――ウォーロックやドルイドなど、まだスキンのないヒーローに新たにスキンが実装される予定はありますか?

チェイズ氏: ドルイドとヒーロー両方とも新たなヒーローは実装予定で、キャラクターも決定していますが、実装に関しては検討中です。

――日本では今デジタルカードゲームが流行の兆しを見せていますが、その中で「ハースストーン」はどのように新規プレーヤーを獲得していきますか?

チェイズ氏: 私たちはカードゲームが大好きなので、様々なタイトルが出ていることは喜ばしいことだと思っています。「ハースストーン」は、どうやってライトなプレーヤーにも親しみやすさをもってもらうかということに注力してきました。今後も誰でも簡単にプレイできてグローバルなゲームであり続けたいと思っています。

――デッキの保存や呼び出しなど、扱えるデッキの数を増やす機能などの実装予定はありますか?

チェイズ氏: 検討はしていますが、コミュニティからデッキのシェアをする機能の要望が強くて、そちらを優先的に着手しています。

――「Diablo」のように、「ハースストーン」に「World of Warcraft」以外のブリザードのIPが登場する予定はありますか?

チェイズ氏: 今は「WoW」の世界観でやりたいことがたくさんあるので、特に考えていません。

――プレーヤーがゲーム内で大会を実施できる機能などの実装予定はありますか?

チェイズ氏: ユーザーからの要望が強いことは把握していますが、近日中の実装予定はありません。

――日本の「ハースストーン」プレーヤーにメッセージをお願いします。

チェイズ氏: 日本で「ハースストーン」は盛り上がってきているのを感じています。日本プレーヤーのレベルも上がってきているし、大会で入賞するトッププレーヤーも生まれています。今後も様々なサポートを予定しているので楽しみにしていてください。「ハースストーン」をサポートしてくれてありがとう!

――本日はありがとうございました。

©2017 BLIZZARD ENTERTAINMENT,INC.

GAME Watch,柳島雄太

最終更新:5/17(水) 11:07

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