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<沖縄本土復帰45年>基地・貧困 復帰っ子の思いラジオに

毎日新聞 5/15(月) 11:53配信

 ◇1972年生まれ 名物パーソナリティー西向幸三さん

 「米軍基地や貧困の問題があって、日々の生活にも追われている。でも子供たちが笑える沖縄にするにはどうしたらいいか、どうすればもっといい沖縄になるのか。考えることをやめないでほしい」

 こう語るのは沖縄が本土に復帰した1972年に生まれた西向幸三さん(45)。エフエム沖縄の人気ラジオ番組「ゴールデンアワー」のパーソナリティーとして、復帰45年を迎えた15日も、そんな思いをマイクを通じてリスナーたちに届ける。

 平日午後2時から始まる「ゴールデンアワー」は、「局長」こと西向さんと、「ミキトニー」こと糸数美樹さん(32)のウチナーヤマトグチ(標準語が交ざった沖縄方言)での掛け合いが人気のバラエティー番組。内容はお笑いが中心だが、時には基地や貧困など沖縄が抱える問題についても話題が及ぶ。

 「復帰っ子」として沖縄で生まれ育った西向さんだが、父親は青森県出身。沖縄の名字ではないため、「あんた、ナイチャー(本土の人)ね」と言われ続けた。けれども20代でカナダに留学して語学学校に通っていた時、意識を変える出来事があった。学校には複数の日本人がいたが、他の国の人たちから「あなたは他の日本人と雰囲気が違う」と言われた。「自分はウチナーンチュ(沖縄の人)なんだ」と自覚できた。

 今一番関心があるのは貧困の問題だ。県民の所得は全国最低水準で、子供の3人に1人は貧困状態とされている。自身も家計を助けるため、小学3年から新聞配達を始め、高校卒業までの学費などを自分で稼いだ。

 「格差が広がっているけれど、負のスパイラルから抜け出すにはやはり教育が一番大事」「きつい状況はたくさんあるが、苦しいことも笑いにすればどうにかなる」。こんな思いを胸にして番組で語りかけている。

 自宅は、県内移設問題で揺れる米軍普天間飛行場(宜野湾市)のフェンスから歩いて数分の距離にある。2人の子供の親として基地問題も避けて通れないと感じている。「『面倒くさい』と言って考えるのをやめたらそこで終わり。子供たちのためにどんな沖縄を残してあげられるのか。それを考えるのが親たちの責任だと思う」

 美しい海や人のやさしさ、三線(さんしん)や空手など沖縄発祥の独自の文化……。「この島に生まれたことをとても幸せに思う」と胸を張る。本土の人たちにはこう語りかける。「癒やしのために沖縄に来ても、フェンスも見てオスプレイも見て、少しでも何かを感じてほしい。どうか無関心ではあってほしくないですね」【佐藤敬一】

最終更新:5/15(月) 12:06

毎日新聞