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【大相撲夏場所】黒星発進した稀勢の里の“寿命”

5/15(月) 17:31配信

東スポWeb

 大相撲夏場所初日(14日、東京・両国国技館)、初優勝から3連覇を目指す横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が小結嘉風(35=尾車)に一方的に押し出されて黒星発進。3月の春場所で痛めた左上腕と左胸部にサポーターとテーピングを施して出場したが、格下に完敗を喫して大きな不安を露呈した。和製横綱に過去2場所で見せたような強さは見られないのか。それとも、ここから以前の力を取り戻せるのか。今後の稀勢の里の「横綱寿命」を探った――。

 完敗だった。稀勢の里は嘉風に右でおっつけられると、ズルズルと後退。土俵際の抵抗もむなしく一方的に押し出された。取組後は「(左の感触は)悪くない。相手が強いから負けた。また明日です」。淡々とした口ぶりで気持ちを切り替えたが、現実は厳しい。自ら「見苦しい」と嫌うサポーターやテーピングを施して土俵に上がったことからも、左上腕と左胸に不安を抱えていることは明らかだ。

 実際、最大の武器にしていた左のおっつけも出さずじまい。日本相撲協会の八角理事長(53=元横綱北勝海)は「今場所は苦しくなる。不安があるから、おっつけられない」と苦戦を予想する。3連覇どころか、15日間を全うできるのかも怪しい雲行きだ。和製横綱は、今年の初場所、春場所で見せたような強さを見せられないのか。

 同じ二所ノ関一門の先輩横綱で雲竜型の土俵入りを直接指導した芝田山親方(54=元横綱大乃国)は、稀勢の里が長く綱を張り続けるためには今が転機と見る。そもそもケガをする以前から、その相撲内容に課題を感じ取っていたからだ。

「先場所も押し込まれた相撲が多かった。昨年も年間最多勝で結果は残したけど、内容は良くない。(結果が)いいほうに転べばいいけど、悪いほうに転べば、とことん悪くなる。自分も経験があるから、それが怖い」と指摘する。

 昨年春場所から2桁勝利を続けて成績が安定するようになった一方、勝った相撲でも土俵際まで押し込まれてから逆転…という危うい場面も少なからずあった。先場所は横綱日馬富士(33=伊勢ヶ浜)に一気に寄り倒されて大ケガを負った。

 同親方は「これからは土俵際の守りの相撲ではなく攻めの相撲に転じてほしい。ケガをしないためにも、立ち合いから厳しく攻めてもらいたい。左のおっつけより、右の上手を先に取ること。どんどん右から攻めていく相撲に変えていけば、3年は持つ。今のままでは持たない」と力説した。

 稀勢の里自身も場所前の稽古で右からの攻めを試すなど、今までとは違う攻め方の必要性は自覚している。ただ、関取衆との稽古を再開したのは初日8日前からという急仕上げ。すぐに身に付くものではない。しかも、稽古場と本場所では相手の圧力は数段違う。

 大相撲解説者の舞の海秀平氏(49=元小結)も「右をどう有効に使うかがカギ。半年、1年をかけて使える筋肉を生かしながら、どう相撲を取っていくか」との見解を示した。

 得意の左を使えない以上、新たな姿へ脱皮するには、しばらく時間を要することは避けられない。一方で、今場所の序盤戦から負けが込むようであれば途中休場も現実味を帯びてくる。初優勝から3連覇は双葉山以来80年ぶり。快挙に挑む場所は前途多難な船出となった。

最終更新:5/15(月) 17:31
東スポWeb