ここから本文です

SIerが成長を続けるために必要なことは 好調、NTTデータ社長が語る神髄

5/15(月) 13:03配信

ITmedia エンタープライズ

 「グローバルなITサービスベンダーとして“Trusted Global Innovator”を目指し、次なるステージに向かっていきたい」――NTTデータの岩本敏男社長は、同社が5月10日に開いた2016年度(2017年3月期)の決算説明会で、今後の事業展開に向けて強い意欲を示した。

【画像】変化が激しいITサービス業界におけるSIerの役割とは(出典:NTTデータの資料)

 今回は、このNTTデータの次なる戦略について取り上げたい。というのは、業績が好調なのもさることながら、グローバルにおいて日本のITベンダーの存在が目立たないといわれる中で、果敢に挑戦する姿勢を強く打ち出しているからだ。

 NTTデータが同日発表した2016年度の連結決算は、売上高が前年度比7.3%増の1兆7324億円、営業利益が同16.1%増の1171億円で、いずれも過去最高を更新。グローバルでのM&Aや大型案件の獲得が好調の要因となった。連結売上高は1988年の設立以来、右肩上がりを続けている。

 グローバルでのM&Aで特に注目されたのは、2016年3月に発表した米Dell(現Dell Technologies)のITサービス部門(Dell Services部門)の買収だ。同年11月に大半の手続きを終え、2016年度第3四半期(2017年1~3月)から損益面での連結対象になった。2017年4月からはNTTデータの米国子会社と事業を一体化させた形となっている。

 2017年度(2018年3月期)の連結業績は、Dell Services部門の統合などにより、売上高が前年度比18.9%増の2兆600億円、営業利益が同2.5%増の1200億円になる見通し。特に51カ国・地域で展開するグローバル事業の売上高が同50.5%増の9080億円となり、海外売上高比率が44%に達する見込みだ。同社は2016~2018年度の中期経営計画で売上高2兆円超を目標に掲げているが、いよいよ手が届くところまできた。

 その中期経営計画とは別に、とりわけグローバル事業の成長を目指して、同社がかねて掲げてきたのがグローバルビジョンである。具体的には3つのステージがあり、まず「グローバルカバレッジの拡大」を掲げて海外売上高比率30%を目指した第1ステージは2014年度(2015年3月期)に達成。また、「グローバルブランドの確立」を掲げて売上高2兆円超および海外売上高比率50%を目標とした第2ステージの達成も前述の通り見えてきた。その次に設定したのが、新たに打ち出した第3ステージである。

●NTTデータの「SIer道」の神髄は?

 岩本氏によると、第3ステージは冒頭の発言にあるように「Trusted Global Innovator」を目指し、信頼されるブランドであることを浸透させるとともに、世界3大地域でほぼ均等な事業ポートフォリオを形づくっていく考えだ。そのうえで、ITサービスベンダーとして「世界トップ5」入りを狙う。

 具体的な取り組みについて同氏は、「Status」「Scope」「Strength(強み)」という3つのキーワードを挙げ、次のように説明した。

 まず、Statusは世界トップ5に入って認知度を一層高めることにある。また、Scopeは世界3大地域でほぼ均等な事業ポートフォリオを形づくっていくことにあり、その中で同氏は特に、「当社として年間50億円以上または5000万ドル以上の取引がある顧客数を現在の60社ほどから100社超にする」「主要国でトップ10に入る」「グローバルシナジーを追求する」ことを掲げた。

 そしてStrengthについては、顧客との深い理解による信頼関係を構築する「Long-Term Relationship」、ビジネス革新を顧客と共に実現する「Applied Innovation」、生産技術革新の追求やNTTグループのR&Dを活用した「R&D Excellence」といった3つを挙げた。

 業績の数字をしっかりと残し、勢いのある中でのグローバルビジョンだけに、会見を聞いていても非常に頼もしく感じた。だが、ITサービスベンダーの中でもいわゆるSIer(システムインテグレーター)の代表格である同社が、将来的にもその業態を変えずに成長し続けていけるのか。

 例えば、グローバルではメガクラウドサービスベンダーと競合するケースも出てくるだろう。その状況によっては、先述した第3ステージの内容も変わってくるかもしれない。そんな疑問を会見の質疑応答でぶつけてみたところ、岩本氏は次のように答えた。

 「どんな市場環境であれ、私たちの基本姿勢は“クライアントファースト”にある。つまり、お客さまが何を望んでいるのか。お客さまにとってどのようなソリューションが最適なのかを、お客さまとともに考えて実現していくのが、私たちの役目だ。もし、お客さまからAmazon Web Services(AWS)のサービスを使いたいとの要望があれば、私たちはそれに対しても全力で取り組む。これまでも、例えばネットワークにおいて、NTTグループだからNTTのネットワークしか扱わないといったことはなく、お客さまの要望に応じて他のネットワークも扱ってきた。その意味で私たちは自らを、クライアントファースト・ソリューションプロバイダーだと認識している」

 この回答にはまさしく「SIer道」とも呼ぶべき理念が示されている。同氏流に言えば、SIerはつまり「クライアントファースト・ソリューションプロバイダー」である。とはいえ、クライアントファーストは不変にしても、SIerも時代に合わせて変化が迫られるはずだ。その代表格のNTTデータがこれからどう変わっていくか、注目しておきたい。