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おきて破りの決算続ける東芝、「法的整理は考えていない」と強調

5/15(月) 16:00配信

MONOist

 深刻な経営危機に陥っている東芝は2017年5月15日、正式な決算手続きを終えないまま2017年3月期(2016年度)の決算見込みを発表した。東芝は既に2016年度第3四半期決算において発表を2度延期した上で、監査人が「意見不表明」の段階で2017年4月11日に発表しており、企業ガバナンスの問題が指摘されている。

【東芝におけるWECのチャプター11申請による影響の画像】

●決算がまともに発表できない状況が続く

 東芝は、現在の経営危機の大きな要因となった、同社の原子力発電(原発)関連のグループ会社ウェスチングハウス(WEC)の米国CB&I ストーン&ウェブスター(S&W)買収に対し「不適切なプレッシャー」があったとされている※)。経営危機の最大の要因であるS&W買収における疑義があるため、継続的調査を続けてきたものの、監査人であるPwCあらたでは、結論が出せないとしており、現在も調査を継続中。2016年度第3四半期に続いて、2016年度通期決算についても監査の評価を得られないままの発表となった。

※)関連記事:東芝、監査の意見なしで2度延期の第3四半期決算発表

 東芝 代表執行役社長の綱川智氏は「現時点で東芝としては決算作業を進めており監査手続きも継続している。しかし、期末から45日を経過することを考慮した上で、現時点での業績見通しを発表することが重要だと考えた」と述べている。

 2016年度の業績見通しでは、経営危機の最大の要因となったWECのチャプター11(米国連邦破産法第11章)を申請し、非継続事業として切り離したことが最大のポイントだ。これにより、継続的な赤字リスクを低減できる一方で、2016年度の最終損益は9500億円という大幅な赤字となると見込まれている。株主資本も5400億円のマイナスとなっており、2016年度は債務超過に陥ることがあらためて明らかになった。

 ただ、綱川氏は2017年3月14日に発表した海外原発事業を除いた「新生東芝」領域※)では「順調に進んでいる。2017年4月には分社化の発表も行い、社会インフラ、エネルギー、電子デバイス、ICTソリューションの4つの事業で利益を確保し、成長を進めていく」と考えを述べている。

※)関連記事:東芝、逆転のシナリオは「第4次産業革命」にあり

 さらに、2017年度の業績見通しについても、メモリ事業の売却などにより経営危機を脱することができた場合、新生東芝領域においては黒字経営ができるという見通しを示している。「現状ではインフラ領域での成長率は低いといえる。過度な成長を目指さずに地道に進めていく」と綱川氏は語る。

●経営継続はギリギリの綱渡り

 ただ、東芝が原発のリスクを低減し、新たな形で事業を継続していくには、ギリギリの綱渡りをこなす必要がある。既に2016年度第3四半期および2016年度通期と、2度にわたる決算を正式に発表できておらず、調査を継続し結論を出せない監査法人との認識の隔たりは大きい。このままいくと2017年6月末が提出期限である有価証券報告書を提出できない可能性も生まれている。東芝は既に東京証券取引所と名古屋証券取引所から監理銘柄(審査中)に指定されており、いつ上場廃止となってもおかしくない状況であり、度重なるイレギュラーな決算開示状況が許されない可能性が生まれている。

 さらに、債務超過解消の頼みの綱であるメモリ事業の売却がうまくいかない可能性も生まれている。東芝のメモリ事業の協業相手である米国のウエスタンデジタルが2017年5月14日(米国時間)に国際商業会議所(ICC)国際仲裁裁判所に仲裁申立書を提出したと発表。ウエスタンデジタルは、東芝メモリに対する譲渡の解消を求めている。これについては綱川氏は「合弁契約に抵触するものはなく、ウエスタンデジタルが止められるものではないと認識している。協業相手であったサンディスクがウエスタンデジタルに事業売却を行った時も東芝の合意は必要としていなかった。そういう形での契約となっている」と述べている。

 これらの大きなリスクを抱えている状況だが、綱川氏は「法的整理の可能性については考えていない」と述べる。さらに「プランBについても用意していない」としており、今後、想定外の状況が発生すれば、東芝の存続が難しい状況になる。

最終更新:5/15(月) 16:00
MONOist