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「Western Digitalが我々の半導体事業売却を止める根拠はない」

Impress Watch 5/15(月) 17:46配信

 株式会社東芝の綱川智社長は、米Western Digitalが、東芝の半導体事業の分社化および分社化した会社の株式を第三者に売却することに対して、国際商業会議所に仲裁の申し立てを行なった(WD、東芝の東芝メモリに対する譲渡について解消を求める)ことに対しコメントした。

 綱川社長は、2017年5月15日、東京・芝浦の東芝本社で行なわれた2016年度(2016年4月~2017年3月)連結業績見通しの席上で言及した。

 「東芝は、メモリ事業の分社化と分社した事業のマジョリティの譲渡を、正当に実施していると考えている。ジョイントベンチャー契約に抵触するような事実はなく、Western Digitalがこのプロセスを止める根拠はない」と真っ向から反論した。

 「持ち分の譲渡を含めて、同意はいらない契約内容になっている。たとえば、Western Digitalがサンディスクを買収した場合も、東芝の同意は必要なかった。我々は、このあたりを主張している」と述べた。

 また綱川社長は、Western Digitalのスティーブ・ミリガンCEOと面談したことを明かしながら、「決裂したわけではない。先方も話し合いを続けていくという姿勢である。また会える時期があると思う。なるべく早い時期に会って、その姿勢のもとで話し合いをしたい」と語った。

 Western Digitalも、半導体事業への入札候補会社の1社と見られているが、今回の申し立てによって、5月19日に設定されている2次入札の期限への影響や、ほかの入札候補会社との交渉に影響を与える可能性も指摘されている。綱川社長は、「2次入札の期限には変更はない。入札候補者には、東芝の主張の正当性を説明して懸念を払拭するように対応する」と述べた。

 さらに、Western Digitalの社員に対するサーバーへのアクセス制限を、米国時間の5月15日に行なう可能性についても説明。

 「これは、Western Digitalによるサンディスク買収後に、サンディスクの社員を通じて、東芝の機密情報がWestern Digitalに流れていた事実があった。これは、きちっとした契約ができていない段階でのものだった。

 こうした状況をお互いに解決しようと、信頼関係のもとでWestern Digitalと協議をしてきたが、これ以上情報漏洩のリスクが看過できないと考えた。最低限是正すべきであるという観点から、情報が流出しない措置を取りたいと考え、この防止策を考えた。

 これは、人の出入りを制限するものではないので、ジョイントベンチャー事業の運営には影響しない。データへのアクセスを制限するかどうかは、明日判断したい」と述べた。

 東芝が今回発表した2016年度業績見通しは、売上高は前年比3.5%減の4兆7,000億円、営業利益は前年比7,530億円増の2,700億円、税引前利益は6,397億円増の2,400億円、当期純利益は4,900億円減の9,500億円の大幅な赤字。電機業界では過去最悪の最終赤字となる見通しだ。

 これにより、株主資本はマイナス5,400億円と債務超過に陥ることになる。半導体事業の売却は、この債務超過を埋めるための切り札となるとも言え、いわば東芝の上場廃止を左右する重要な事業売却案件だ。

 綱川社長は、「大幅な最終赤字となったことを重く受け止めている。早期に財務基盤の建て直しを行なう」とし、「メモリ事業への外部資本の導入により、債務超過を解消する予定している」と語った。

 また綱川社長は、「民事再生法など、会社を法的に清算することは考えていない。また非上場化とし、再建後に再上場するといったことも考えていない」と語り、上場維持に強い意思を見せた。

 なお今回発表した業績見通しは、独立監査人であるPwCあらた有限責任監査法人の意見表明を受けておらず、東芝の責任において、同社の見通しおよび見解を示したものだ。

 綱川社長は、「財務数値は独立監査人による監査が手続中の段階にある。東芝グループ全体の決算手続き完了の見込みがつき次第、速やかに業績を発表する」としている。

PC Watch,大河原 克行

最終更新:5/15(月) 17:46

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