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東芝、また異例の「決算見通し」発表 上場廃止は「考えていない」

ITmedia ビジネスオンライン 5/15(月) 19:42配信

 東芝は5月15日、2016年度の通期業績見通しを発表した。「見通し」とした理由は、同期の財務状況に関する監査手続きを終えられなかったため。正式な決算発表は延期し、今回の発表内容は概算値となる。現在は、一時は決別も報じられたPwCあらた有限責任監査法人と協力し、早い段階での決算発表に向けて監査手続きを進めているという。

【画像:東芝の通期業績見通し】

 東芝の綱川智社長は、暫定での業績発表に踏み切った理由を「期末から45日を経過したことを踏まえ、投資家・株主などステークホルダーの皆さまにこれ以上ご心配をおかけするわけにはいかないと考えたため」と説明する。

 同日は東京証券取引所が定めた決算発表の締め切り日に相当。決算発表が間に合わなかったことで上場廃止の可能性も指摘されるが、綱川社長は「上場廃止については先方の判断に任せる。当社は一刻も早く決算手続きを完了できるよう努力していく」と話す。上場廃止を受け入れ、非上場企業として業績を立て直すという選択肢については「考えていない」(綱川社長)と強気な姿勢を崩さなかった。

●16年度の業績「見通し」は?

 同社の通期業績見通しは、売上高が前年度比2848億円減の4兆8700億円、営業利益が7530億円改善の2700億円。最終損益は4900億円悪化して9500億円の赤字だった。

 4月11日公表の予想では5000億円の営業赤字としていたが、米原発子会社のWestinghouse(WEC)グループが米連邦破産法11条(チャプター11)を申し立て、決算時の連結対象から除外した影響で、一転して営業黒字となった。一方、事業の非継続化の影響を受けない最終損益は膨れあがる結果となった。

 セグメント別の業績は、米原発事業など「エネルギーシステムソリューション」の売上高が9800億円、営業損益が360億円。財務基盤改善の根幹を担う「インフラシステムソリューション」は売上高が1兆2600億円、営業利益が580億円。フラッシュストレージなど「ストレージ&デバイス・ソリューション」は売上高が1兆7000億円、営業利益が2470億円だった。

 綱川社長は「巨額損失の原因となった原子力事業以外はおおむね順調に推移している」と自信を見せた。

●わずか1年での最終黒字化を見込む

 17年度の業績予想は、売上高が1700億円減の4兆7000万円、営業利益が700億円減の2000億円。最終利益は1兆円増の500億円と、1年での最終黒字転換を見込む。

 セグメント別では、エネルギーシステムソリューションの売上高は9800億円、営業利益は250億円を予想。インフラシステムソリューションは、売上高が1兆2200億円、営業利益が370億円。ストレージ&デバイスソリューションはメモリ事業を除いて、売上高が1兆6500億円、営業利益が1730億円を見込んでいる。

 監査法人の変更については、「17年度は協力していく。18年度に関しては未定。当社の監査委員会で決定する」と述べるにとどまった。

●会見での一問一答

 会見での主な質疑応答は以下の通り。

――決算発表はいつまで延期するつもりなのか。

綱川社長: まだ決まっていない。早急に発表したい。

――時間をかければ決算発表ができると考えているのか。

綱川社長: そう考えている。

――社長の座を辞す可能性についてはどう考えているのか。

綱川社長: 進退については指名委員会に一任している。

――監査法人との関係はどうなっているのか。

綱川社長: 現在、特に溝が生じているわけではなく、双方とも前向きに協力関係を築いている。ただ、決算内容についてどこが悪いかという具体的な指摘は先方からまだ得られていない。今後については当社の監査委員会が判断の権限を持っているが、特に変えるとは聞いていない。

――4月に第3四半期の連結決算を発表した際、「過去の決算内容に関する調査は不要」としており、監査法人との対立の要因になっていたが、今後もし監査法人が過去の決算についても調査が必要と判断した場合は応じる意向があるのか。

綱川社長: 応じる方向で考えている。

――6月末の有価証券報告書の提出は可能なのか。

綱川社長: 法定期限までに提出できるよう、監査法人と協力して最善を尽くす。

――半導体事業(東芝メモリ)の売却について、本日、合弁相手のWestern Digital(WD)が国際仲裁裁判所に申し立てをした。入札手続きは継続できるのか。

綱川社長: メモリ事業の売却を正当に実施したい。当社は、ジョイントベンチャー(JV)契約に抵触するような事実はなく、WD側がプロセスを止める理由はないと考えている。入札の候補者に東芝の主張の正当性を伝え、懸念を払拭(ふっしょく)できるよう努力していく。

――具体的な主張の内容は。

綱川社長: JV契約では、第三者に支配権が移る「チェンジオブコントロール」の場合、持ち分の譲渡の際に相手方の同意は不要となっている。昨年WDがフラッシュメモリ製造の米SanDiskを買収した時も、当社は特に同意をしていない。こうした主張の正当性を説いていきたい。

――情報が流出しないように、WD関係者を情報網から締め出すことを検討していると報じられていたが、実際はどうか。

綱川社長: データへのアクセス権に関しては、現在決めていることはない。

――メモリ事業の売却が17年度中に終了しない場合の選択肢は用意しているのか。

綱川社長: 考慮には入れたいが、現在は他の選択肢は決めていない。基本的には今年度中に売却を終える方針だ。

――インフラ事業の収益性が低いように見えるが、今後どうやって稼いでいくのか。

綱川社長: 確かにインフラの収益性は低い。現在さまざまな対策をしている。地道な施策によって収益は改善していくと考えている。

――WECがチャプター11を適用したように、東芝も法的整理を行うという手段があるのではないか。

綱川社長: そのような方法は検討していない。

最終更新:5/15(月) 19:42

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