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<日本郵政>赤字289億円 豪の子会社、特損4003億円

毎日新聞 5/15(月) 21:58配信

 ◇野村不動産HD買収、長門社長は具体的な言及避ける

 日本郵政が15日に発表した2017年3月期連結決算は、民営化後初めて、最終(当期)損益が289億円の赤字(前期は4259億円の黒字)となった。15年に買収したオーストラリアの物流会社「トール・ホールディングス(HD)」の業績悪化で4003億円の特別損失を計上したことが響いた。日本郵政は収益力強化に向けて、野村不動産HD買収を検討しているが、長門正貢社長は記者会見で「本日お話しする内容はない」と具体的な言及を避けた。

 野村不動産HD買収を検討している背景には、日本郵政が大都市などに保有する不動産再開発で収益を拡大する狙いがある。ただ、市場では「マンション開発が主力の野村不動産HDとどこまでシナジー(相乗効果)があるか」と疑問視する声もある。また、6200億円を投じたトール社買収で巨額損失を出したばかりだけに、日本郵政社内には更なる巨額買収に動くことに慎重論もある。

 長門社長は最大の課題の収益力強化について「不動産などで巻き返したい。M&A(企業の合併・買収)を成長の歯車にしたい」と強調。一方で野村不動産HD買収については「一般論として必要があれば手を打つ」と述べるにとどめた。

 この日発表した17年3月期連結決算は、売上高に当たる経常収益が前期比6・5%減の13兆3265億円。トール社に関わる特別損失を主因とする最終赤字額は当初400億円規模が見込まれたが、精査した結果、最終的な赤字幅は100億円強縮小した。

 稼ぎ頭である傘下のゆうちょ銀行の最終利益は日銀のマイナス金利政策の影響による国債運用益の減少などで3.9%減の3122億円。一方、かんぽ生命保険は株式運用シフトを進めたことなどが奏功して最終利益が4.4%増の885億円となった。

 日本郵政は18年3月期の連結業績について、経常収益は6.5%減の12兆4600億円、最終損益は4000億円の黒字への転換を見込む。これまで大黒柱となってきた金融子会社2社の収益が長引く超低金利で厳しくなり、将来的に2社の株式放出も迫られる中、収益力強化策は必須だ。長門社長ら日本郵政首脳が野村不動産HD買収を検討しているのは、「プラウド」ブランドの高級マンション分譲事業を展開する野村不動産や、投資家から集めた資金を運用する「野村不動産投資顧問」のグループ化。収益力強化につなげたい思惑があると見られる。

 ただ、楽天証券の窪田真之チーフ・ストラテジストは「トールの買収失敗で日本郵政への市場の信頼は揺らいでいる。(20年の東京五輪ブームなどを背景にした)不動産バブルが指摘される中、今買収すれば高値づかみとなるリスクもある」と指摘する。【浜中慎哉、小川祐希】

最終更新:5/15(月) 23:10

毎日新聞