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<東芝>半導体売却もリスク 米WD、仲裁申し立て

毎日新聞 5/15(月) 22:10配信

 ◇17年3月期、独自の概算値を発表

 東芝再建のカギを握る半導体メモリー事業の売却をめぐり、協業先の米ウエスタン・デジタル(WD)が、国際仲裁裁判所に売却の差し止めを申し立てた。東芝は2017年3月期連結業績について、監査法人の承認を得ない独自の概算値の発表を余儀なくされるなど不安定な経営状態が続いている。WDの申し立てで半導体売却計画が大きく狂う可能性もあり、東芝は経営再建に向けて新たなリスクを抱えることになった。

 米WDは14日(現地時間)、国際仲裁裁判所への仲裁手続きを申請し、東芝がWDの同意なしに半導体メモリー事業の売却手続きを取ったことが「合弁事業契約の譲渡禁止条項に明確に違反している」と主張、売却の中止を求めた。

 東芝の半導体メモリー事業売却は、18年3月末の債務超過を解消するために不可欠だ。2兆円規模の資金調達を見込んでおり、計画通りに売却できなければ2期連続で債務超過に陥り、東京証券取引所の規定で上場廃止になるためだ。

 WDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)は「これまでの取り組みが功を奏さず、法的措置が必要になった」とのコメントを発表。これに対し、東芝の綱川智社長は15日の記者会見で「半導体メモリー事業の売却は正当に実施しており、WDがプロセスを止める根拠はない」と真っ向から反論した。

 WDは東芝の半導体メモリー事業の入札手続きに参加しており、売却に当たって独占交渉権を与えるよう要求してきた。これに対し、東芝は三重県の四日市工場へのWD社員の立ち入りを禁じるなどの対抗措置をとると「警告」するなど泥沼化していた。

 こうした対立は、入札参加企業や投資家の判断に悪影響を及ぼす可能性がある。また、仲裁手続きは時間がかかるとみられ、年度内に手続きを完了させる日程は大きく遅れかねない。

 ◇国際仲裁裁判所

 日本など約130カ国が加盟する国際機関「国際商業会議所」(本部・パリ)の下部組織で、国境をまたぐビジネス上の紛争を解決する役割を担う。第三国から選ばれた仲裁人が最終的な「仲裁判断」を下すため、特定の国の裁判所の判断に比べて公平性が担保される。仲裁判断には訴訟の判決同様の拘束力がある。日本企業では、自動車メーカーのスズキが独フォルクスワーゲン(VW)との資本・業務提携解消とスズキ株の返還を求め、認められた例がある。

最終更新:5/16(火) 2:02

毎日新聞