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アキレス腱断裂から再起したヤクルト・大松の劇的弾“エグい”打棒復活はこれからだ

スポーツ報知 5/15(月) 16:03配信

 劇的弾のその先に見ているものは―。ヤクルト・大松尚逸内野手が9日の広島戦(神宮)で、同点の延長12回、右翼席へサヨナラアーチを放った。昨オフにロッテを戦力外になり、テスト入団を経てヤクルト入りした苦労人スラッガー。さらに昨年5月に負った右アキレス腱断裂の重傷を乗り越えた一撃とあって、感情を揺さぶられた人も多いのではないだろうか。

【写真】テスト入団→延長代打サヨナラ弾の大松

 翌10日。反響を聞いてみた。もちろん、大きかった。尊敬するロッテ・福浦や、縫合手術の執刀医などから、数え切れないほどの祝福メッセージが届いた。「それはもう今世紀最大ですよ。1つ1つしっかりとした文面で返信させていただきました。全てが出会いですから」。実直な性格の男らしい答えだった。

 まだまだ怖さとの戦いも続く。患部を超音波で念入りにほぐすなど、日々のケアは欠かせない。「医者の専門的な立場から言えば(アキレス腱は)つながっているからもう完治してる、と。ここから先は感覚的なもの。自分の体は自分が1番分かっているようで、情けないことに1番分かってない」。慎重に、それでも着実に、歩みを進めていく。

 個人的には、04年の東海大時代から取材をさせてもらっている。同年、日本代表として出場した世界大学野球選手権(台湾)にも同行した。打撃練習時に、当時の代表選手から「エグい!」と連発されていた打棒が戻って来たことが本当にうれしかった。「あの年のプロ入りした代表選手、だいぶ少なくなっちゃったね」そう向けると「まだまだいますよ。これからですよ」。まだまだ成長できる。6月で35歳になる男の声は、とても力強かった。

 当日は苦労を分かち合った愛妻・敦子さんをヤクルト移籍後初めて球場に招待していた。その目の前で優雅な放物線を描いた。「本人いわく『涙した』とのことでしたが、どうでしょうかね」。帰宅後には祝杯を交わしたが、浴びるほど飲みたい気持ちを抑えて口をつける程度にとどめた。「患部が硬くなったり、可動域が出なくなるんで(飲酒は)控えるようにはしてる。疲労を次の日に持ち込まない状態にすることは意識してます」。乗り越えた試練の大きさを思えば、1日くらい…となるのも人間なのに。まだ一発。完全復活ではない。その目がそう物語っていた。(記者コラム・西村 茂展)

最終更新:5/15(月) 18:42

スポーツ報知

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