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逆境こそ稀勢の里!負傷した左で勝った、3連覇へ希望

スポーツ報知 5/16(火) 6:04配信

◆大相撲夏場所2日目 ○稀勢の里(寄り切り)隠岐の海●(15日・両国国技館)

 横綱・稀勢の里(30)=田子ノ浦=が、前頭2枚目・隠岐の海(31)=八角=を下して今場所初勝利を挙げた。1958年の年6場所制以降、初日から連敗して逆転優勝した力士はゼロ。敗れれば“優勝確率0%”だった正念場で白星をつかみ、37年夏場所の双葉山以来80年ぶり4人目となる初Vからの3連覇に希望を残した。

 突然降ってきた187キロに、稀勢の里の目が覚めた。出番を待ち、目を閉じ集中力を研ぎ澄ませていた東土俵下。春場所千秋楽の本割と優勝決定戦で連破した因縁の大関・照ノ富士(25)=伊勢ケ浜=が押し出されて落ちてきた。春場所で土俵下に転落した際に痛めた左上腕部に大関の巨体が激突。顔をしかめる姿に国技館のファンは最悪の事態も想像したが、動じなかった。「いろいろあるんじゃない。気が紛れましたよ」。珍しく笑いながら振り返った。

 取組では初日に影を潜めていた左が火を噴いた。生命線の左おっつけ。体を入れ替えると、タイミング良く左を巻き替えてねじ込んだ。左四つで胸を合わせ、8秒2で寄り切り。「いいんじゃないですか。おっつけた感覚? いつも通り。(左腕は)問題ないですよ」。テーピングで固められた患部を気にすることのない寄りに、八角理事長(元横綱・北勝海)は「流れの中で左を差すことができていた。いい内容」と称賛した。

 敗れれば3場所連続の賜杯が遠のく重要な一番だった。58年の年6場所制以降、初日から2連敗を喫して逆転優勝した力士は誰もいない。データ上はV確率0%となる鬼門を何とか突破した。前日の黒星について問われても「昨日は昨日」と一蹴。「まあ今日は今日で。明日は明日で集中して」と続けた。

 復活の兆しを見せる横綱の人気を示すように、自らが表紙となったジャポニカ学習帳も怒濤(どとう)の売れ行きを見せている。担当者によれば、最も人気のあるB5の5ミリ方眼が初日には国技館で約400冊も売れたという。14日が休日のため、この日の仕入れ予定はなかったが、急きょ追加分を納品した。先場所は在庫に限りがあるため1日ごとの販売数を限定していたが、今場所は約1万冊を用意して先場所以上のフィーバーに備えている。

 初優勝から3連覇で肩を並べる相撲の神様・双葉山への道もつながった。初日の黒星から逆転Vを果たした横綱は平成以降で13例もある。「いい切り替えができた? また明日ね、切り替えて集中してやるだけ」。逆境に立たされたときこそ、横綱の真価が問われる。(秦 雄太郎)

 ◆稀勢の里の逆境

 ▽08年秋場所 8月のモンゴル巡業で腸炎を発症。場所前に腸捻転と診断されて入院し、5日目までは入院先から直接国技館入り。初日から4連敗し6勝9敗で終わったが、優勝した白鵬から唯一の白星も。

 ▽11年九州場所 大関取りのかかる場所前に、先代師匠の鳴戸親方(元横綱・隆の里)が急逝。ショックに負けず2ケタ勝利で場所後に大関昇進を決めた。

 ▽17年春場所 13日目の日馬富士戦で左上腕部などを負傷。救急車で搬送されたが14日目からも強行出場。千秋楽では1差で追う照ノ富士を本割と優勝決定戦で2度破り、新横綱Vを達成した。

最終更新:5/16(火) 6:04

スポーツ報知