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消防団活動に限界 復興を問う-震災6年目の現実

福島民報 5/15(月) 9:51配信

 東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示が解除された地域では、消防団の再構築など防災体制の強化を求める声が上がっている。
 福島県飯舘村前田・八和木行政区の女性(73)は今月下旬、福島市の借り上げ住宅から村内に新築した自宅に移る。待ちわびた古里での生活だが、心配も多い。一人暮らしとなる上、避難先で患った病を抱えている。「大きな地震や豪雨に見舞われたら、健康に不安がある自分は一人で逃げ出せるのか。助けてくれる人は現れるのだろうか…」
 災害時、消防団は住民の避難誘導に当たり、安全を確保する任務を負う。3月31日に居住制限、避難指示解除準備両区域が解除された飯舘村で、村に戻ったのは団員約200人のうち20人程度だ。

 浪江町でも、消防団員の確保が課題となっている。
 居住制限、避難指示解除準備両区域が3月末に解除されたが、帰町したのは団員約500人のうち20人ほど。「マンパワーの確保が喫緊の課題だ。だが、自助努力にも限界がある」。浪江町消防団長の佐々木保彦(69)は危機感を募らせている。
 町内の帰還困難区域では4月下旬に山林火災が発生し、12日間にわたって燃え続けた。延焼が拡大し、集落に火の手が迫った場合、住民の安全を確保する態勢が組めたか心もとないという。
 町は4月に町職員で組織する消防団第7分団を新設した。町内で生活している10代から30代の25人が入団したが、多くが団員活動の経験がない。このため、火災が発生した際の任務は双葉地方広域消防本部の消防隊員への給水活動などに限定している。

 若手を中心とした消防団員の確保が全国的な課題となる中、被災地の自治体はいかに対応するのか。
 飯舘村消防団は、これまで「村内の居住者」に限定していた入団資格を「村内勤務者」に拡大した。避難区域が設定された他の自治体からは、業務を再開する事業所、新たに進出した企業に対して社員を消防団活動に参加させるよう国が前面に立って要請してほしいとの訴えが聞かれる。
 県は今後、避難区域が設けられた自治体の消防体制の在り方を議論する会合を開催する予定だ。消防庁は参加の意向を示しているが、「支援を検討するが、団員をどう確保するかは難しい問題だ」(地域防災室)としている。(敬称略)

福島民報社

最終更新:5/15(月) 13:17

福島民報