ここから本文です

ロシア当局によるLINE封鎖は“見せしめ” 反政権運動「つながり」を警戒

SankeiBiz 5/16(火) 7:15配信

 ロシアの通信監督当局が今月、無料通信アプリのLINE(ライン)やブラックベリー・メッセンジャーなどを封鎖する措置をとった。プーチン露政権は、SNS(会員制交流サイト)や通信アプリが反政権運動に利用されることを警戒し、本格的なインターネット統制に踏み出しつつある。LINEなどロシアでの利用者が少ない外国系アプリを標的にし、世論や主要通信会社の出方を探っていると考えられている。

 LINEなどをブラックリストに入れた理由について、露当局は、「2014年発効の法律に基づき、情報取扱業者の登録に必要な自社情報を報告しなかったためだ」と説明している。

 ただ、ネット統制に詳しい露専門家、コズリュク氏は、この法律が治安・特務機関との「協力」を前提としている点を指摘する。

 同法は、「登録業者」がアプリ利用者の基本的な行動履歴情報を半年間保存し、必要に応じて治安・特務機関などに提出するよう求めている。封鎖されたアプリの運営会社は、こうした義務を受け入れられず、「登録」に応じなかったことが考えられるという。

 ロシアでの利用者が多いWhatsApp(ワッツアップ)といった主要通信アプリには、今のところ問題が出ていない。

 このため、LINEなどの封鎖には、他の業者に対する見せしめや、世論の反応を探る観測気球の意味合いがあるとみられている。

 第1、2次プーチン政権は主要テレビ局の掌握に力を入れたが、12年発足の第3次政権はネット統制に軸足を移している。中東での「アラブの春」をはじめとする反政権運動で、SNSによる「呼びかけ」や「つながり」が大きな役割を果たしてきたためだ。今年3月末、モスクワなどの露主要都市で行われた大規模な反政権デモも同様だった。

 近年のロシアでは、ネット上の書き込みが「過激主義」や「憎悪の惹起」といった罪に問われるケースが急増。昨年11月には、米ビジネス用SNSのリンクトインが封鎖され、今年4月には、トラック運転手らのデモで使われていた通信アプリが禁止された。

 政権は、国境をまたぐ情報回路の管理を強化するなどし、ロシアのネットを外界から遮断できるようにすることも研究している。

 来年7月には、通信会社に対し、利用者の携帯通話や電子メール、ダウンロードするファイルなど全ての内容を半年間保存するよう義務づける法改定が発効する。テロ対策を名目に、治安・特務機関には保存情報への自由なアクセスが認められる。人権問題もさることながら、通信会社には4兆円以上に相当する初期投資が必要とされ、通信料の大幅引き上げを通じた経済への打撃も避けられない。

 ロシアのネットは、その黎明期(れいめいき)から国家統制下にあった中国と違い、比較的自由に発展してきた経緯がある。ネット統制の問題が今後、都市部の中産階層や若い世代の反政権機運に火を付ける可能性は大いにあるだろう。(産経新聞モスクワ支局 遠藤良介)

最終更新:5/16(火) 7:15

SankeiBiz