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ドゥテルテ比大統領、対中で「面従腹背」? 南シナ海で実効支配強化

産経新聞 5/15(月) 22:16配信

 【シンガポール=吉村英輝】フィリピンが南シナ海の実効支配の強化を着々と進めている。ドゥテルテ政権は中国からの経済支援を引き出す狙いから、中国の南シナ海に対する主権主張を全面否定した国連海洋法条約に基づく仲裁裁定を棚上げした。外交では対中融和姿勢を継続する一方、中国の力による現状変更に対抗すべく、主権を堅持する姿勢は崩していない。

 現地メディアによると、フィリピン国軍は11日、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島にある、フィリピンが実効支配するパグアサ(英語名・ティトウ)島で建築資材の搬入を始めたと発表した。ロレンザーナ国防相が先月21日、同島を視察し、滑走路の補修や電力関係の施設の建設計画を表明していた。

 同島には、軍関係者約120人と一般住民約200人が居住。ドゥテルテ大統領は、6月12日の独立記念日に訪問して国旗を立てる意向をいったんは示したが、中国の反発で中止すると態度を変えた。

 ただドゥテルテ氏は、同諸島にあるパグアサ島などを含む環礁の保護強化を4月に国軍に命令。中国の反発にも、この指示は撤回していない。海軍は雨期に入る7月を前に同島への資材運搬を終了させる予定だ。

 また、ピニョル農相は11日、フィリピンが領有権を主張するルソン島北東沖の「ベンハム隆起」について、名称を「フィリピン隆起」へ変更する案をドゥテルテ氏が承認したと発表した。周辺海域は排他的経済水域(EEZ)だと主張し、他国による海底資源探査の活動を禁止した上で、浅瀬に建造物を構築し違法漁業の取り締まりを行う意向も示した。

 ベンハム隆起については、国連大陸棚限界委員会が2012年、フィリピンの領有権主張を認めた。だが同隆起のある海域で昨年7月から12月にかけ、中国の探査船が侵入していた疑いがあり、ドゥテルテ氏は今年3月、主権の保護を指示した。

 フィリピン沿岸警備隊は今月上旬、同隆起周辺海域の巡回に着手。日本政府から提供された巡視船1隻を現場海域に初めて派遣し、中国船の再侵入の警戒に当たっている。

最終更新:5/15(月) 22:16

産経新聞