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電機大手、「成長路線へシフト」って本当なの?

5/15(月) 8:30配信

ニュースイッチ

「持続的成長基盤が整った」(パナソニック社長)

 シャープと、経営再建中の東芝を除く電機大手6社の2018年3月期連結決算業績予想が出そろった。6社全てが営業増益を見込む。既存の主力事業が堅調に推移するほか、次世代を担う新分野でも成長の芽が見え始めた。日立製作所の東原敏昭社長兼最高経営責任者(CEO)は「17年度は成長に向けギアチェンジしていく」と話す。地政学リスクの高まりなど課題はあるものの、“日本電機”の成長路線へのシフトが鮮明になってきた。

 ソニーの18年3月期の営業利益見通しは5000億円と過去最高に迫る。世界的に高い競争力を持つスマートフォン向け画像センサーがけん引する。三菱電機は主力のFA機器の引き合いが中国、韓国で好調。「17年度上期中は高水準の受注が続く」(松山彰宏専務執行役)という。

 「持続的成長基盤が整った」―。パナソニックの津賀一宏社長は今後の業績に自信を示す。根拠の一つは成長分野に据える車載事業。米テスラ向け電池の供給拡大、車載情報機器の大型案件により「(将来の車載事業の売り上げ目標である)2兆円に手応えを感じている」とする。

 経営危機に陥ったシャープも親会社の台湾・鴻海精密工業の主導で調達費削減などに取り組み、17年3月期に営業損益が624億円の黒字(前期は1619億円の赤字)と3期ぶりに転換した。18年3月期の業績予想は5月に公表予定だが、当期損益の黒字化を見込む。

 08年秋のリーマン・ショック以降、日立や三菱電機がいち早く復活を果たす一方で、一部企業は浮揚できずにいた。しかし選択と集中を経て主力事業を基盤に、成長分野で収益の上積みを図る好循環が日本の電機業界全体に広がりつつある。

 ただ油断はできない。日立は18年3月期の営業利益率が7%(前期は6・4%)に達する見通しだが、西山光秋執行役専務最高財務責任者(CFO)は「世界の競合と比べると、まだまだの水準」と危機感をあらわにする。成長路線を確かなものにするため、各社にとって17年度は勝負の年となる。

<解説>
 電機業界はこの10年、収益構造がほとんど変わっていない。稼ぎ頭は日立は金融システムであり、パナソニックは白物家電、三菱電機はFA。基盤事業があるのはとても大切なことではあるが、「成長、成長」と言いながら言葉が踊っている。日立のIoTも既存の事業強化にすらまだつながっていない。パナソニックも車載で利益率5%からどこまで伸びしろがあるのか。大組織でスピード感をもって意思決定してくのは難しいが、「世界の速度」はもっと速い。

最終更新:5/15(月) 8:30
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