ここから本文です

「年俸1億円」はざら 年収差が開くばかりのプロ野球選手と会社員

qBiz 西日本新聞経済電子版 5/15(月) 10:56配信

コラム

 ゴールデンウイーク中にプロ野球中継を見ながら、選手たちの経歴や成績、年俸などを調べたところ、今更ながら「1億円プレーヤー」の多さに驚いた。

 1986年のオフに落合博満選手が日本初の1億円プレーヤーになってから30年。この間、会社員の給与は伸び悩んでいるというのに、球界では「年俸1億円」はざら。平均年俸も3倍超に増えていた。

 日本プロ野球選手会によると、2017年シーズンの選手会加入の1億円プレーヤーは72人(選手会に加入していない外国人選手は対象となっていない)。このうち、ソフトバンクホークスが13人と、12球団で最多だった。

 平均年俸は3826万円で、1986年の1047万円の3・65倍だ。選手の市場価値がそれだけ上昇したということなのだろう。

 それに比べ、会社員の平均年収(国税庁の民間給与実態統計調査)は、86年の362万円から、97年の467万円をピークに下落。やや持ち直したものの、2015年は420万円で、86年の1・16倍しか増えていない。

 プロ野球選手と会社員の年収差は、広がるばかり。86年は2・89倍だったが、15年は9倍超の開きだ。

■年俸200万台の育成選手も

 選手の平均年俸が上がった下地には「市場の透明性」があるのかもしれない。

 年俸は事実上公開情報であり、「あの選手はお買い得だ」「最近は出場も少ないのに高すぎる」など、常に球界内外の目にさらされている。いわば球団の枠を超えた「相場」が存在するともいえるだろう。

 そこに93年(古い話だが)、どの球団とも選手契約を結べるFA制度が導入され、決定的になった。選手の年俸は、移籍するにせよ残留するにせよ以前より高額に。トップ選手の年俸は高騰し、平均額を押し上げた。

 一方、「相場」があるためか、球団側は通常の選手の年俸を極端に落とすことは難しいようだ。

 このため、球団主は、経営コストが膨らみ、負担できなければ撤退を余儀なくされる。ご承知の通りホークスも、南海→ダイエー→ソフトバンクとオーナーが変わった。

 なることさえ難しいプロ野球選手だが、契約交渉で主導権を握れるのは、人気と実力を兼ね備えたほんの一握り。その他の選手は、球団側に生殺与奪を握られているといっても過言ではないだろう。

 先ほどの平均年俸の調査では、500万円未満の選手が62人。そのほかにも、「練習生扱い」の育成選手がいる。チャンスをもらったといえなくはないが、育成選手の多くは年俸200万~300万円台。厳しい勝負の世界にあって、年収差は球界の中でも広がっている。

 そんな世界だからこそ、トップに登り詰めた選手には、高給をもらってほしいと思うのは人情なのかもしれない。

 メジャーで活躍すれば(もちろん年俸のためだけではないにせよ)、さらにケタ違いの年俸を手にできる時代だ。

 とはいっても、会社員の平均年収の伸び率がもう少し上がれば、個人消費も拡大するのになあ、と邪念を持っていたら、テレビ画面に映るホームランの瞬間を見逃してしまった。

 次の観戦では、年俸のことは忘れて、野球に集中したいと思う。反省。

西日本新聞社

最終更新:5/15(月) 11:08

qBiz 西日本新聞経済電子版