ここから本文です

【あの時・なんばグランド花月の30年】(5)創業100周年迎え年間100万動員

スポーツ報知 5/15(月) 15:00配信

 なんばグランド花月が最も華やかに彩られたのが2012年4月8日。創業100周年を迎え、なんばグランド花月ビルが新装オープンした日だ。「伝説の日」と銘打ち、所属タレント208組計277人が勢ぞろい。笑福亭仁鶴、桂三枝、西川きよし、明石家さんま、ダウンタウンも並んだ。昭和の芸能史とも重なる豪華な面々は、吉本興業が積み重ねてきた歴史そのものだった。

 現在、なんばグランド花月の支配人となった新田敦生は言う。「NGKに来てから学んだことは多いですよ。大阪には意識の高い芸人が多い。劇場とお客さんを愛してる芸人から、気づかされることも多い」。100周年のリニューアル工事の際には、ある大御所から、劇場正面の仮囲いがそのままになっていることを怒られた。「劇場の『顔』やぞ。工事やからといって、顔を何も考えてないのはおかしい」と指摘され、ポスターなどで仮囲いを飾った。

 芸人が愛し客からも愛される劇場だからこそ「格」を保ちたい。遅刻して舞台をすっぽかした若手には、1~2か月間、出番を与えない。人気者でも例外はない。すち子でブレイクし始めた頃のすっちーが、やらかした。「『東京のテレビにゲストで呼ばれた』って寝過ごして来て、1か月くらい新喜劇に出さんでくれと言いました。今は座長になって絶対にトチれない。須知(すっちーの本名)がいなかったら、お客さんは『金返せ』っていう話でしょ。そういうプレッシャーの中で生きていかなアカンのです」。出演者は若返っても、舞台は昔と変わらず「神聖」な場所のままだ。

 5年前に新装されたNGKは、かつてあったテレビスタジオをなくし、1階を飲食店、劇場入り口がある2階にはグッズや土産物などを置き、人の流れをスムーズにすることで客足がとどまるようになった。100周年を機に夜公演を定着させたこともあり、観客動員は着実に増えている。15年度は年間100万人を突破。16年度は98万人だったが、1試合で球場に数万人を動員するプロ野球と渡り合っている。

 地方からの団体客や海外の観光客も多く、週末や休日はほぼ大入り満員。今年3月には、初めて夏休みの8月期以外で月間10万人を超えた。「笑いの殿堂」の前には、きょうもマイクを持ったスタッフが大声を張り上げている。「劇場公演は始まったところです。まだチケットありますよー! 途中からでも楽しめますよー!」(河井 真理)=敬称略、おわり=

 ◆何でもあり 新田は14年に、新喜劇のMr.オクレと浅香あき恵の持ちネタをそれぞれ缶飲料にした「ビンボーソーダ」と「鼻油茶」を劇場内の自販機に設置。値段は1本150億円で「実際には販売をしておりません」と注意書きがあった。他にも乳首を触られると「ぴゅ、ぴゅ」と反応するギャグで知られる今別府直之の顔写真シールを、男性トイレの小便器の的に貼るという案も。さすがに社内で却下されたというが、細かいところまで笑いにこだわる吉本らしい。

最終更新:5/15(月) 15:00

スポーツ報知