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骨髄ドナー支援が岡山県内全域に拡大 登録と移植増加に期待

5/15(月) 10:52配信

山陽新聞デジタル

 白血病などの患者に骨髄や末梢(まっしょう)血幹細胞を提供するドナーを対象に、岡山県が昨年4月に新設した支援制度が4月から県内の27市町村全てに広がった。各市町村と助成金を折半する制度で、積極的に導入を働き掛けてきた。ドナーの入院・通院に対する助成に加え、その勤務先への補助まで盛り込んだ全国に先駆けた手厚い支援で、ドナー登録と移植の増加が期待されている。

 「患者さんからお礼の手紙をいただき、ドナーになって良かったと実感している」

 昨夏、助成制度を利用して県外の白血病患者に骨髄を提供した会社員男性(32)=笠岡市=が振り返る。

 男性には、1日当たり通院費として5千円と入院費として2万円が支給された。骨髄の採取には通院を含めて約10日間必要だったため、仕事にできるだけ影響が出ないよう、土日曜を挟んで入院したという。

 費用は県と笠岡市が半額ずつ負担し、男性が勤務する福山市の事業所にもこの間、1日当たり1万円が支払われた。

 医療費は全て患者側が支払うためドナーの自己負担はないが、支援は、ドナーが仕事を休むことや骨髄採取の際に体に負担がかかることに対する補償と位置付けられている。

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 県が制度を設けたのは、2014年4月に総社市が独自の支援を始めたのがきっかけ。その先駆的な取り組みを全県に拡大していこうと、助成金の半額を県が支出することで市町村の負担軽減を図った。

 同年度中に総社市のほか22市町が導入。今年4月から残りの久米南、鏡野町、新庄、西粟倉村も制度をスタートさせた。

 日本骨髄バンクの集計では、全国でドナーへの支援制度を設けている市区町村は約280で、約15%にとどまる。全市町村で制度が創設されたのは岡山県のほか、埼玉、京都、山形―の3府県のみ。事業所に対する助成がある都道府県は岡山と東京だけという。

 県内で16年度に制度を活用して骨髄を提供したのは約20人。制度の拡充によって、本年度は最大で35人分の助成を見込んでいる。

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 県内のドナー登録者は約7300人。日本骨髄バンクを通して、毎年、20人程度が骨髄を提供しているが、提供に至る前に「仕事を休めば迷惑が掛かる」「休んだ分の収入が減る」といった理由で断念するケースは多い。

 同バンク中四国地区事務局(広島市)の松浦裕子地区代表は「実際に移植ができるのは患者の約6割にとどまる」と指摘する。

 県に長年支援制度の創設を求めてきた「岡山・骨髄バンクを支援する会」の原田早苗代表=岡山市南区=は「移植を受けられずに亡くなった人やその家族ら、さまざまな人の思いが込められた制度。自分も率先してPRしていきたい」と話している。

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 骨髄移植 ドナーになるには日本骨髄バンクに登録する。同バンクは移植を希望する患者と白血球の型が一致する人を全国から調べ、骨髄提供を依頼する。ドナーの対象年齢は18~54歳。県内では岡山大、川崎医科大、国立病院機構岡山医療センター、倉敷中央の4病院が骨髄採取・移植施設に指定され、毎年30~40件の移植が行われている。