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家が全焼した家族に起きた奇跡 結婚式控え思い出の写真発見

福井新聞ONLINE 5/15(月) 17:51配信

 5月7日未明、8棟が被害を受けた福井県鯖江市の火災。住宅が全焼した伊藤正博さん(56)、眞恵さん(52)夫妻は、来年結婚する長女に家族の思い出の写真を贈りたいと毎日現場に通い、住居の残骸の中から焦げたアルバムを掘り起こした。中の写真は無事だった。「思い出と共に娘には幸せになってほしい」と夫妻は安どの表情を浮かべた。

 結婚式で使う写真を探そうと、長女が富山県から帰省したのは4日。式は来年2月に予定しており、披露宴で自分の生い立ちを写真スライドで紹介したいと考えている。家族とのだんらんを楽しみ、6日に富山へ帰っていった。それからまもなく火事は起こった。

 2階建ての家は南側の壁と炭化した骨組みの一部が残るのみ。一家で市内の親族宅に一時的に身を寄せたが、心配だったのが家族のアルバム。「買い直し、再発行できるものならいいけど、思い出はどうにもならない」と眞恵さん。帰省した際、長女は幾つかの写真をデータにして保存していたものの、家族で撮った写真は数多い。長女を含めた子ども3人のためにも何とか見つけ出したかったという。

 時間を見つけては現場に通い、がれきをかき分けたところ、2階が焼け落ちた1階車庫の片隅から、かつて本棚にしまっていた複数のアルバムが出てきた。眞恵さんが子どもたちのために制作したもの。外表紙は焼けていたが、中の写真は外側の一部が焦げ付く以外、ほとんど無事だった。

 火災から1週間がたった現在は、見つかったアルバムから写真を1枚ずつはがす作業を現場で続けている。12日は長男も駆けつけ手伝った。幼い頃の旅行や家族だんらんの1枚が見つかると「こんな写真もあったんだ…」と目を細めた。眞恵さんは今後、写真を新たなアルバムにまとめ直す予定だという。

 一家は12日、当面の住まいとして確保した市内のアパートへ引っ越した。正博さんは「多くの人の励ましの言葉が前進する原動力になる。思い出の詰まったこの場所にまた戻ってきて、元の生活を取り戻したい」と力強く話した。

福井新聞社

最終更新:5/15(月) 18:54

福井新聞ONLINE