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絶滅危惧種のベッコウトンボが激減、昨年から9割も 北九州で調査

西日本新聞 5/15(月) 10:05配信

 絶滅の恐れのあるベッコウトンボの生息地として知られる北九州市若松区の響灘ビオトープで、今年のトンボの個体数が激減している。5日に行った調査では、昨年より9割も減少。2013年の調査開始以来、最低を記録した。識者は「絶滅に直結する数字ではないが、幼虫が捕食された可能性がある」と指摘している。

⇒【画像】今年確認されたベッコウトンボ

 ベッコウトンボはまだら模様の羽が特徴で環境の変化に敏感なため、生息地が鹿児島県や静岡県などの一部に限られている。環境省レッドリストで絶滅の恐れが極めて高い「絶滅危惧1A類」に指定されており、同園は生息状況を把握して保全に役立てようと、2013年から羽化がピークを迎える4月下旬~5月上旬に3回程度、個体数の調査を行っている。

 5日の調査には市民や専門家ら約50人が参加。草をかき分け、目視で体長4センチほどのベッコウトンボを探し回った。1匹見つけた八幡西区の塔野小4年中村壮佑君(9)は「去年見つけられなかったので、うれしかった」と笑顔を見せたが、この日確認できたのは48匹。これまでは、13年809匹▽14年979匹▽15年1393匹▽16年414匹だったが、初めて百匹を下回った。

 調査に同行した日本トンボ学会会員の新海義治さん(59)は、激減の理由についてトンボが羽化する園内の水辺に着目。「生息するフナがトンボの幼虫を餌にした可能性がある」と話す。

 同園によると、羽化には水温が温かくなる必要があるが、今春は低温が続き、羽化も例年より9日遅れ。こうした環境の変化が何らかの影響を与えた可能性も否定できないという。

 新海さんによると、異常発生といった個体数の増減は毎年あり、「大幅に減ったとしても、徐々にゼロへ近づいているわけではない」と説明。「ベッコウトンボは環境の変化に比較的弱い。減ったという事実から保全へのヒントを探ってもらいたい」としている。

=2017/05/15付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:5/15(月) 10:05

西日本新聞