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全国的にも珍しい岩壁画 極楽を飛ぶ鳥⇒「天女」に変更 国指定史跡 福岡県豊前市

西日本新聞 5/15(月) 11:07配信

 福岡県豊前市岩屋にある「岩(がん)洞窟」の天井には、全国的にも珍しい岩壁画がある。かつて極楽を飛ぶ鳥「迦陵頻伽(かりょうびんが)」とされたが、20年ほど前に羽衣をまとった天女「飛天」にあらためられた。求菩提山本体と合わせ、岩洞窟も国史跡に指定されたが、訪れる人は限られているという。修験道文化を伝える史跡をより多くの人に知ってもらおうと、地元の保存会が取り組みを強化している。

⇒【画像】岩洞窟の天井に描かれた「飛天」

 市街地と求菩提山を結ぶ県道から100メートルほど入ったところに地元住民が設置した木製の「迦陵頻伽 岩洞窟」の看板がある。小道を歩き石段を登ると、飛天の壁画が目に飛び込んできた。さらに石段を登ると、幅17メートル、高さ4メートル、奥行き7メートルの大きな洞窟にたどり着く。車が入る場所からわずか数分の距離だ。

「修験道文化を一体的に理解できる貴重な場所」

 洞窟の中央には薬師堂があり、平安時代後期(12世紀)の作とされる木製の薬師如来像が安置され、周辺には石仏などもある。多くの修験者がこの洞窟にこもり、厳しい修行を積んでいたとみられる場所だ。

 同市教育委員会などによると、迦陵頻伽は上半身が人で下半身が鳥とされるが、一部の専門家の間では飛天と指摘する意見もあった。栗焼憲児・生涯学習課長は「求菩提山を国の史跡にするため、1996年から翌年にかけて文化庁などと協議した際、下半身が鳥ではないとして、飛天に統一した」と変更理由を説明する。ただ、迦陵頻伽は長年慣れ親しんだ名称だけに、今もそう呼ぶ人は少なくない。

 地元18戸の住民でつくる岩屋岩洞窟保存会(松本晴雄会長)は、毎年5月にお釈迦(しゃか)様の誕生日を祝う「お花まつり」を岩洞窟で開いている。今年初めて、のぼり旗10本を準備。県道からも岩洞窟が目立つようにし、地域内外から50人ほどが参加した。毎月、洞窟と周辺の掃除もしながら伝統行事を守り続けており、松本会長は「歴史的価値が高い岩洞窟を多くの人に訪れてほしい」と語る。

 かつて、岩洞窟は県指定史跡だったが、2001年に国指定史跡となった。求菩提資料館の元館長、恒遠俊輔さんは「求菩提山と如法寺(ねほうじ)など、修験道文化を一体的に理解できる貴重な場所」と話している。

=2017/05/13付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:5/15(月) 11:07

西日本新聞