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質の低い素人スマホ動画、簡単に改善するコツ

ウォール・ストリート・ジャーナル 5/15(月) 16:12配信

――筆者のマイケル・スーはWSJのガジェット担当エディター

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 筆者は最近インスタグラムやスナップチャットに投稿される質の低い動画を、取り付かれたように見続けている。そのためスマホを使って撮影する映像が、完璧なものに仕上がることはないと理解しているつもりだ。手ぶれ動画の方が臨場感もあり、リアルさが増すことも承知している。

 しかしそれと同時に、映像を撮影する側の貴重な思い出が、安っぽいデジタル動画として残っていくことは残念に感じる。このままでは子供が初めて歩いた時の姿も、女友達同士で夜の街で遊んだ思い出も、ホールインワンを達成した時の様子も、すべて映りの悪い動画として刻まれてしまうのではないだろうか。

 実はこの問題を解決するのは簡単なことだ。質の高い動画を撮影するには、質の低い動画を撮影するのと同じ程度の時間しかかからないし、そこまで難しいものでもない。要はその意志を持てるかどうかだけだ。

 筆者がこのことに気づいたのは、娘の誕生会で撮影した動画を見たことがきっかけだった。これまでも撮影を任されたことは何度もあり、録画開始ボタンを押し忘れるミスや、スマホの空き容量が足りなくなるミスなどをしてきた。誕生会ではその点を気に掛け、スマホを構える位置も事前に決めて挑んだつもりだった。

 誕生会がスタートすると歌が始まり、ろうそくに火が着けられ、それを吹き消した娘は大きな笑みを浮かべた。後に撮影された動画を見てみたら、カメラの前にホイップクリームの缶が映り込んで邪魔をしていたが。撮影開始前にカメラが映している映像を確認しなかったためだ。この缶は7秒あれば片付けられたのに。

 自宅の裏庭でバーベキューを楽しむ様子を、テレンス・マリックばりの崇高な映像で残す必要があるとは言わない。しかしどうせ思い出を記録に残すなら、なるべく躍動感のある映像を残せるように努力すべきではないだろうか?

記憶に取って代わるもの

 紀行作家のポール・セロー氏は、写真を撮る行為は「記憶を消去する手段だ」と述べている。実際、ある研究によれば、美術館を訪問した人の中で作品の写真を撮影した鑑賞者は、撮影しなかった人ほど詳細を記憶していないことが判明している。われわれはカメラを通して対象を見ることで、その場から一歩離れて見てしまうからだろう。筆者は動画を撮影する時、映像は記憶を補助するものではなく、記憶に取って代わるものだと意識して気をつけるようにしている。

 スマホを使った動画撮影を真剣に極めようとすれば、それを実践するための特殊な機材がたくさんあることに気づくだろう。映画のように深みのある映像を撮影できるレンズや、動いている被写体をスムーズに撮影するための安定支持機材などもある。しかし今撮っている動画の質を上げるために多くの出費をする必要はない。簡単に試せる手法がたくさんあるだけでなく、安価に入手できるグッズも十分にそろっているからだ。

 まず手始めに、上手な動画を撮る方法は上手な写真を撮る方法と基本的には同じだということを理解しておこう。人間を撮影しているのであれば、鼻の下からのアングルにならないようスマホは高い位置に構えるべきだ。相手の頭の上の部分に多くの余白を残すのもよくないので、必要ならば本人に近づいて撮影しよう。明るい照明や窓のすぐ下に立ってもらうのも、逆光になるため避けたい。子犬など素早く動くものを撮影しているのであれば、画面の真ん中に対象を置くのではなく、進行方向に余裕がある位置に配置しよう。

 当たり前のことだが、スマホをまっすぐに持つことも重要だ。ただし撮影後に気がついた場合は、Chromicのような動画編集アプリで角度を調整することもできるので安心だ。

 スマホのすばらしさは、露出設定やフォーカスなどの知識がまったくなくても撮影を楽しめることだろう。映像のピントが合っていない場合や明かりを調整したい場合は、その部分をタップするだけでソフトウエアが調整してくれる。

 スマホを主にカメラとして使うのであるなら、機内モードに設定してしまうのも手だ。Wi-Fi(ワイファイ、無線LAN)や携帯の電波は小さなノイズを発生させることもあるので、子供のリサイタルの映像が影響を受けることを避けられる。

 シンプルな映像の方が凝ったものより大抵はうまくいくことも覚えておこう。動画撮影中はズームやカメラを移動させたくなるものだが、見る側としてはカメラが動かない方が疲れない。小型の三脚に撮影中のスマホを設置して、そのまま置いておくのもいい方法だ。

あると便利:そろえてみたい3つのガジェット

 ・広角レンズがあれば、カメラを左右にふらなくてもより広いエリアを捉えることができる。アミールの2-in-1 Professional HD Camera Lens Kit(29ドル、約3300円)は0.6倍の超広角レンズに15倍のマクロレンズもついている。超広角レンズは見晴らしのいい風景を撮影するのに最適なだけでなく、子供の演奏会など対象が広がりすぎて全体が入りきらない時にも便利だ。他メーカーのクリップ式レンズよりサイズが大きいのは気になるが、この価格でゆがみの少ない映像を撮影できる。ユニバーサルなデザインなので、ほとんどのスマホに着用可能だ。

 ・スマホで撮影された映像の中には、音声がこもっているものがたまにある。これは撮影者がスマホのマイク部分を手で覆ってしまっているからだ。簡単な対処方法としては、マイクの部分に手が触れないようカメラを持てばいい。もし騒音が多い場で撮影しているなら、外付けのマイクを使うこともお勧めしたい。シュアのMV88(150ドル)は、新型のiPhoneにも対応している。アンプリッジのMightMic S(50ドル)も、ヘッドフォンジャックがあるスマホならばどれでも使うことができる。

 ・スマホはあまり明るくない場でもきれいな映像を撮れるようになってきているが、暗めのおしゃれなレストランや夜間のガーデンパーティーなどはさすがに厳しい。そのような場合は、クリップ式のLED照明をスマホに着用するのがいいだろう。Pickogen Flashは18ドルで購入可能。撮影対象にもまぶしすぎない、ちょうどいい明るさになっている。ただしあまりパワーがないため、被写体には十分近づいて撮影することが重要だ。

By Michael Hsu

最終更新:5/15(月) 16:12

ウォール・ストリート・ジャーナル