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バラの見方、歴史踏まえ新提案

カナロコ by 神奈川新聞 5/15(月) 15:33配信

 ◆発展・復興の歩み 見守る「横浜市の花」
 開催中の「第33回全国都市緑化よこはまフェア」のメイン会場「みなとガーデン」で、横浜市の花、バラが見頃を迎えている。開港後の街の発展とともに歩んできた花でもあり、同市中区の山下公園、港の見える丘公園のバラ園はフェアに向けて再整備された。デザインした統括アドバイザー・白砂伸夫さん(64)は、街とバラの関わりの歴史を踏まえ、「新しい見方を提案したい」と意気込む。

 フェアは3月末から6月上旬に及ぶ。「期間中の約2カ月間を、音楽のように時間軸で変化を見せたい。桜、チューリップに続き、最終章がバラ。それぞれの庭が響き合い、バラの素晴らしさを引き出したい」。白砂さんの意図は壮大だ。

 山下公園は「未来のバラ園」として改修した。丈夫で育てやすい品種「ノックアウト」「ドリフト」を中心に190種2650株を植栽。病害虫に比較的強い品種に四季を彩る草花を混ぜた。「都市にどのような品種を植栽すればバラの街になるか、というサンプルガーデンでもある。ガーデニングの参考にしてほしい」とアピールする。

 港の見える丘公園のバラ園は、隣接するイギリス館のイメージに合わせ、「イングリッシュローズの庭」として整備。約150種1200株がシルバー、ブルーを基調とした草花と競演する。

 周囲より一段低い場所にある沈床花壇は、「香りの庭」として生まれ変わった。約100種のバラの香りを楽しめるよう構成。似た匂いごとに4グループに分けて植えた。「香料の原料になったり、鎮静効果の高かったりするものもある。香りが逃げにくい沈床花壇なので、より堪能できる」という。

 バラが市の花に制定されたのは1989年。開港130周年、市制100周年の節目の年でもあった。市地域活動推進課によると、市民応募の件数が過半数で、歴史的に横浜市とゆかりがあり、誰でも知っている親しみやすい花との理由で選ばれたという。

 だが、横浜とバラの“付き合い”はもっと古い。明治時代には、横浜港から輸入されたバラは山手の外国人住宅から市民の庭に広がった。昭和初期の1935年には市心部でバラ祭りを開催。この催しで繰り広げられたバラで飾られた自動車のパレードは、毎年5月3日に開催される「国際仮装行列」(ザよこはまパレード)のルーツという。

 関東大震災後や戦後、米国から横浜市に贈られたバラは、復興する街を彩った。未来のバラ園に咲く黄色い「ピース」もその一つだ。

 現在もその進化はとどまることがない。横浜イングリッシュガーデン(西区)のスーパーバイザー・河合伸志(たかし)さん(48)はフェアを記念し、「セント・オブ・ヨコハマ」など地元ゆかりの3品種を生み出した。港の見える丘公園の「香りの庭」などで楽しむことができる。

 「バラを育てるには特に手間がかかる。生命の尊さや環境保護を意識する心を育む」と白砂さん。戦前からの貨客船である氷川丸、関東大震災後、がれきの集積地から海岸公園として整備された山下公園。「歴史を刻み、過去から現在、そして未来をつないでもいる」。そんな場所こそ、市の花、バラをめでるにふさわしい。

最終更新:5/15(月) 15:33

カナロコ by 神奈川新聞