ここから本文です

セウォル号の「星」たちの帰還…家族ら「9人全員が見つかってから泣こう」

5/15(月) 12:05配信

ハンギョレ新聞

4階船尾の客室での人骨発見に続き 中央廊下で16点・3階の客室で3点を収拾  未収拾者家族、抱き合いながら 「やっと帰って来はじめた」と涙  文大統領、セウォル号の記事にコメント 「みんなで待っています」

 14日午後2時、全羅南道木浦(モクポ)新港のセウォル号捜索現場。船体の中から未収拾者1人が帰ってきたことで、捜索作業はスピードを上げていた。横向きに長く横たわったセウォル号の左舷で作業者40人余りが切断機で進入路を切り開き、障害物を取り出そうと奔走していた。仕切り幕の張られた埠頭内の作業台では、泥をこす作業の真っ最中だった。4階の船尾では鉄板を切る火花が飛び散り、轟音が響き渡った。気温が上がったせいか、泥は腐り酸えたにおいがした。

 セウォル号が据え置かれている木浦新港の内外は、週末の間じゅう騒然としていた。未収拾者1人がほぼ完全な形で収拾されたためだ。同時にこの遺骸とは別人のものと推定される骨も発見された。先月18日に開始した船体捜索に進展がなく焦っていた未収拾者家族の顔が、目に見えて明るくなった。

 未収拾者家族たちは13日夕方、頭部の遺骨を収拾したという知らせを聞くや一目散に捜索現場に駆けつけた。セウォル号の惨事の現場から最も近い珍島(チンド)の体育館や、彭木(ペンモク)港などで3年以上待った家族たちだが、引き揚げの後、船体を目の前に置いて家族を見つけられない苦しみはさらに彼らをやきもきさせた。

 遺骸を収拾した場所は、4階船尾の女子生徒の団体部屋につながる8人用の小型客室だった。ここでは10日から14日までに、他の部位の人骨が多数発見された。11日には檀園高校のチョ・ウンファさんの学生証や携帯電話などが入ったかばんが見つかっている。

 4階中央廊下の女子トイレでも13日、人骨と推定される小さな骨16点が収拾された。捜索チームは14日、3階中央右舷客室から人骨と推定される骨片3点を発見した。泥を取り除く過程でも、4階船尾の女子生徒の団体部屋で発見された袋から2点、遺骸が見つかった付近の小型客室で発見された袋から1点の人骨をそれぞれ収拾した。人骨が発見された客室4階の3カ所と3階の1カ所など、計4カ所に増えた。未収拾者が帰ってきているという青信号とみられる。

 収拾現場に出向いた家族たちは、待ち望んだ遺骸収拾を喜びながらも、他の家族を配慮して思いきり泣くこともできなかった。3年間互いを思いやってきたチョさんの母親のイ・クムヒさんとホ・ダユンさんの母親のパク・ウンミさんは、状況を聞いた後しばらく言葉を失っていた。パクさんはイさんを抱きしめて「泣きたくても泣くこともできないお母さん」となだめた。イさんは「9人全員を見つけ出して、その時にわんわん声を上げて泣こう」と涙を堪えた。「ウンファを見つけ出して遺族になることが願い」と言っていたイさんは、感情表現を極度に自制した。

 家族たちは「子どもが死んで戻ってきたので喜ぶことでもなく、3年待ってやっと見つかったので恐縮することでもない。このような地獄のような状況を、一日も早く抜け出したいばかり」と言い、ため息をついた。さらに「船体の断面図に捜索を終えたという斜線が増えるたびにため息をついていたが、やっと帰って来はじめましたね。一日も早く子どもたちを見つけ出し、家に帰りたい」とやるせない心境を吐露した。

 家族たちは文在寅(ムン・ジェイン)大統領が記事に書き込んだコメントを取り上げながら慰め合った。文大統領は13日のコメントに未収拾者9人全員の名前を書いた後、「皆で一緒に待っています。セウォル号の惨事の未収拾者たちが家族のもとに一日も早く帰ることを祈ります」と書いた。文大統領は、未収拾者の遺骸発見の記事のコメントに書き込まれた「檀園高の生徒の母親の手紙」を見て、返信を残した。この手紙は娘に向けて「いくばくかを稼ぐために働いていて最後の電話に出られなくてごめんね。母さんがお金持ちじゃなくてごめんね。貧しい家にあなたのようなかわいい子を生んでごめんね」という悲痛な叫びが書かれていた。

 イ・ナクヨン首相候補者もこの日イさんにショートメールを送り「ウンファが星になって、お母さんお父さんはもちろん、ウンファを愛するすべての人の胸の中で永遠に輝くだろう」と慰めた。ショートメールを受け取ったイさんは「未収拾者家族に会ってくれて完全な収拾に向けて気を使ってくださり、感謝している。3年前も今も家族を見つけられず取り残されるのではないかと焦り心配している」と返信した。さらにイさんは「1人を特定すれば残りの8人が見つからなかったと心を痛めるのではないかと心配になる。配慮していただければありがたい」と書いた。

 セウォル号の現場収拾本部は、遺骸の身元確認に慎重な態度だ。いくつかの骨片が出たため、一つ一つの遺伝子(DNA)鑑識をした後、身元を公開することにした。国立科学捜査研究院が精密鑑識をするのには1カ月ほどかかるものとみられる。収拾本部側は「惨事当時の状況を誰も分からない。未収拾者の最後の動線を確信することができず、9人の最後の位置の推定も客室が崩れて意味がない」と明らかにした。

 4・16家族協議会の遺族らも、もどかしい気持ちで捜索現場を見守っている。セウォル号家族協議会のチャン・フン真相調査分科委員長は「未収拾者9人を探すことが何よりも急がれる。最後の瞬間にどのようなことが起こったのか誰も分からないので、5階だけでなく貨物倉も徹底的に捜索しなければならない」と話した。

木浦/アン・グァンオク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:5/15(月) 12:05
ハンギョレ新聞