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白血病治療にハプロ移植、ドナーを得る最終手段

読売新聞(ヨミドクター) 5/17(水) 12:01配信

 白血病などの治療で、白血球の型であるHLAが一部しか一致しない血縁者からの造血幹細胞移植が、治りにくい患者の治療法として広がっている。免疫反応による症状は出やすいが、近親者なら高い確率でドナー(提供者)が見つかるうえ再発予防効果があるとされているためだ。(赤津良太)

■血縁者から採取

 白血病をはじめ血液がんの移植治療には、骨髄や血液(末梢(まっしょう)血)から、血液のもとになる造血幹細胞を採取して移植する方法や、胎盤やへその緒から採れるさい帯血の移植がある。

 いずれも患者とドナーで特定のHLAが全て一致するのが望ましい。一致すべきHLAは、血縁者なら六つ、非血縁者では八つある。しかし、全て一致する確率は兄弟姉妹で25%、骨髄バンクなどの非血縁者では1万分の1以下と低い。

 そこで考えられたのが、HLAが半分程度しか合わない血縁者をドナーとする方法で、ハプロ移植、またはHLA半合致移植と呼ばれている。親子なら100%近く、兄弟姉妹は50%の確率でドナーになれる。

 「ドナーが見つからずに悩む患者にとっては最後のとりで」と話すのは、埼玉県志木市の古賀紳一郎さん(53)。治りにくいタイプの急性リンパ性白血病で、2003年2月にこの移植を受けた。

 古賀さんは、骨髄バンクでドナーが見つからず、さい帯血移植では十分な効果が見込めなかった。HLAが半分しか一致しない姉がドナーになった。

■再発予防の利点

 一般的なドナー選びで、HLAの一致する血縁者を優先するのは、免疫反応による重い症状のリスクを避けるためだ。移植後、ドナーのリンパ球が患者の体の組織を異物とみなして攻撃する移植片対宿主病(GVHD)が起きると様々な症状が表れ、最悪の場合、死亡にもつながる。

 しかし、核家族化、少子化が進んだ今、条件のよい血縁ドナーが見つかる人は一握り。バンクでドナーを探すと平均約5か月かかるが、ハプロ移植だと1か月程度で移植できる。

 ただ、ハプロ移植はGVHDの重症化リスクが高い。古賀さんは幸い重くはなかったが、移植後3か月以内には黄だんや下痢、発疹、その後は皮膚が硬くなったり目や口がかわいたりする症状が出やすい。

 一方、ハプロ移植は再発予防につながる可能性がある。強い免疫反応で移植後わずかに残った白血病細胞も攻撃されるためで、GVL効果と呼ばれる。

 こうしたことから、移植後に再発した患者や治りにくい患者の「最後の手段」として徐々に拡大。兵庫医大、日本医大、東京都立駒込、東京女子医大、大阪市立大をはじめ専門治療ができる病院で行われている。

 広がりの背景には、GVHD予防策の進歩もある。例えば、現在、移植時に分子標的薬のアレムツズマブや免疫抑制剤のサイモグロブリンを投与する方法、移植後に抗がん剤のシクロホスファミドを使う方法などの臨床試験が進んでいる。

 自治医大教授で、血液内科医の神田善伸さんは、「これまでに行った臨床試験では、GVHDによる重い症状はおおむね抑えられた。難治性患者の治療の選択肢として、今後さらに広がるのではないか」と話す。

最終更新:5/17(水) 12:05

読売新聞(ヨミドクター)