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宮城・塩釜が県大会へ、活躍裏に浜っ子気質/コラム

日刊スポーツ 5/15(月) 12:56配信

<高校野球春季宮城大会・東部地区:塩釜4-1佐沼>◇6日◇決勝◇石巻市民球場

 宮城は地区大会(4地区)が終わり、20日から県大会が行われる。

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 東部地区予選は、塩釜が佐沼を4-1で下し初優勝を果たした。準決勝の石巻戦では、延長13回1-1引き分けから、タイブレークで4-3の勝利。昨春から県で採用しているタイブレーク制で、粘り強さを発揮した。百々(どうどう)智之監督(38)は「優勝の経験は大きい。口で言うのと実際に結果を残すのとでは違いますから」と喜び「冬の間、選手たちが自分たちで考えて練習を頑張っていた。勝負どころでの守備の課題がありますが、中島が負けん気の強さを出して今大会成長した」とたたえた。予選4試合すべてに先発したエース中島一輝(3年)は優秀選手に選ばれた。秋、下級生にエース番号を奪われた時は悔しさで涙を流したが、そこから努力を積んだと言う。「投げ込みを毎日やってフォームを固めたり、今までやらなかった股関節や肩甲骨の柔軟運動を多めにやって準備してきました」(中島)。腕の位置を下げたり、上げたり、試行錯誤しながら、右サイドスローとして生まれ変わった。171センチ、63キロの体で、テンポよく打たせて取る投球が持ち味だ。県大会で夏のシード権(ベスト8)を狙う。

■石巻工のエースは、雄たけびを上げながら投球

 「負けん気の強さ」。活躍した選手を取材すると、よくこの言葉に出会う。最近の選手は「闘争心がない」とか「競争意識が薄い」など、監督の口からため息が聞かれることが多いと感じているが、東部地区運営部の菅原勇太郎教諭(50・多賀城部長)が興味深い話をしてくれた。「沿岸部の子は負けん気が強くて、攻撃的な気質の子が多いんですよ。漁師の町だからね。私は石巻の出身なんですが、ピッチャーをやっていた時は“人と戦っている”イメージで投げていましたから。うちの選手ももっとこう、荒々しさを出して欲しいんですよね」。この日は、石巻工-多賀城の敗者復活最終戦も行われた。雄たけびをあげながら投げる相手エース・森勇樹(3年)の前に、延長11回0-1で敗れた多賀城。菅原部長は相手エースをたたえつつ、がっくりと肩を落として試合を振り返った。

「猟師町の子は気質が荒い」。なるほど・・・。もちろん、沿岸部で育った選手すべてに当てはまるわけではないが、塩釜のエース中島も勝ち気な表情、強気な発言が頼もしかった。彼も“浜っ子”(七ケ浜町出身)だと後で気づいた。

■1つ先の塁を狙う浜っ子は「狩猟民族タイプ」

 この春、内陸部の栗原市・築館(つきだて)から石巻工に転任した利根川直弥監督(45)は、“浜っ子気質”をこう分析してくれた。「わかりやすく言うと石巻の選手は“狩猟民族タイプ”。野球の取り組みを見ても、獲物を探して歩くような、好奇心旺盛な選手が多い。田園地域にある築館の選手は“農耕民族タイプ”で、晴れるのを待ってから動く、実がなるのを待つような気質の選手が多い印象です。相手が打球をファンブル(エラー)したら、オーバーランをしてでも先の塁を狙いに行くのは、狩猟タイプの方だと思います」。

 宮城沿岸部のチームは東日本大震災の影響などもあり、少年野球人口の減少など元気をなくしている印象がある。石巻・塩釜の有望選手が寮のある仙台市内の強豪校に入る傾向も増えているそうだ。沿岸部勢は、石巻工が2012年に21世紀枠でセンバツ大会出場したが、夏の甲子園出場は1988年の東陵(気仙沼市)までさかのぼる。地元ファンは“浜っ子”旋風を待ち望んでいる。

 風土と、気質と、高校野球。首都圏で取材をしているときにはあまり気にすることがなかったように思う。「海あり県と海なし県の違いは?」、「近畿地方2府5県も違うのか?」。気になりだしたら止まらなくなってしまった。風土と、気質と、高校野球。【樫本ゆき】

最終更新:5/15(月) 13:01

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