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自分のことより仲間を思うアイドルが、ステージの真ん中に立った日。「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!!」仙台公演レポート(前編)

5/16(火) 11:12配信

M-ON!Press(エムオンプレス)

『アイドルマスター シンデレラガールズ』初の全国ライブツアー「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!!」が5月13日~14日、セキスイハイムスーパーアリーナで開催された宮城公演にてスタートした。今回は13日の初日公演を中心にレポートする。

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宮城公演には五十嵐裕美(双葉杏役)、上坂すみれ(アナスタシア役)、桜咲千依(白坂小梅役)、大空直美(緒方智絵里役)、金子真由美(藤本里奈役)、佐藤亜美菜(橘ありす役)、鈴木絵理(堀裕子役)、伊達朱里紗(難波笑美役)、千菅春香(松永涼役)、東山奈央(川島瑞樹役)、のぐちゆり(及川雫役)、松嵜麗(諸星きらり役)、三宅麻理恵(安部菜々役)、杜野まこ(姫川友紀役)、朝井彩加(早坂美玲役)が出演した。

アイマス関連のツアーライブの公演名は神戸公演、名古屋公演といった都市名で書かれることが多いため「宮城公演」という名称はちょっと聞き慣れないが、会場となったセキスイハイムスーパーアリーナ(宮城県総合運動公園総合体育館)の所在地は宮城県宮城郡利府町。仙台市ではないと聞いて納得だ。仙台市街地からはやや行きづらい立地で、筆者は利府線のワンマン運転二両編成からバスに乗り継いだ。会場にたどり着くまでにちょっとした小旅行感がある立地は、一昨年に「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!2015」が開催された西武プリンスドーム(当時)を少し思い出す。加えてライブ当日はかなり風雨が強い天候で、会場を目指すプロデューサーたちが乗った航空機が仙台空港に着陸できないアクシデントも多発したりと、かなりエクストリームに荒れ模様なライブ当日となった。

だが超満員の場内は、試される外界とは隔絶された感じ。当日MCで会場名の「スーパーアリーナ」をネタにしたのは三宅だったが、ベースが体育館だけあって会場の雰囲気としては2ndライブが行われた代々木体育館に近いように思う。メインステージはカラクリじかけのお城のような楽しいセットで、ステージの両サイドに川が流れていたりするのも印象的だ(流水の映像を、細い縦長の曲面スクリーンに映している)。

先にネタを明かしてしまうと、今回の宮城公演は初日・2日目を通して同一のセットリストで行われた。今回は初日印象に残ったことを中心に、2日目のエピソードも交えて書いていきたいと思う。なお、楽曲や各キャストの言及に偏りがあるのは意図的なので、後日更新の後編レポートと合わせて読んでもらいたい。

あんきらの5年間と、仲間を牽引する松嵜麗の存在を強く感じさせたツアー初日

ライブ冒頭、シンデレラたちは大きなフラッグを持って登場すると、マーチングバンドのように勇壮にステージを行進。そこから全員で「Shine!!」を披露、自己紹介へとつなげていった。その中で印象に残ったことがふたつある。

ひとつは、上坂すみれや東山奈央といった(私感だが)ちょっとスペシャル感のある顔ぶれが、とても自然にメンバーの一人としてステージに参加していたこと。上坂はアニメ放送時期はなかなかライブ出演のタイミングが合わず、みんなと同じ衣装でライブのステージに立ちたいと熱望していたのが記憶に新しいし、東山は「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 4thLIVE TriCastle Story」にビッグサプライズとして登場し、早見沙織と共に「Nocturne」を披露したステージの鮮烈さが印象に残っている。そんな、登場そのものがライブのトピックのひとつになりうるメンバーが、サプライズであったり、特別な演出といったものを絡めず、ごく自然に笑顔でステージに立っていることがなんだか逆に新鮮だった。全員曲で上坂と五十嵐が抱き合っていた姿は特に印象深い。

宮城公演のセットリストは頭とお尻の要所をアニメ『シンデレラガールズ』楽曲で固めつつも、全体としては『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』楽曲を中心とした「新しい景色」を中心に構成されていた。そのためソロ曲は新曲ラッシュが続く中、東山が歌った「Angel Breeze」はちょっとイレギュラーな感じ。だが東山は4thがサプライズのスポット出演だったこともあって、「Angel Breeze」のソロ歌唱は実は初披露の「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 2nd LIVE PARTY M@GIC!」以来となる。だからこそこの機会に、多少選曲基準を揺らしてでも「Angel Breeze」をセットリストに入れてきたのは心憎い選択だった。「サマカニ!!」ではセンターに東山が立って、若い子たちと一緒に騒ぎたいという瑞樹の願いを現実のライブで叶えたりと、このライブの隠れた主役は間違いなく彼女だった。東山はトークでも、上坂が練習中にフラッグを2本構えて中二ポーズを決めていたエピソードを紹介したり、普段はクールに演じ歌っている千菅が「キラッ!満開スマイル」のステージ裏で楽しそうに踊っていた姿を紹介したりと、タイミングのいい裏話の数々で盛り上げていた。

冒頭印象に残ったことのふたつめは、松嵜麗がセンターに立つ姿だった。初日、新曲「にょわにょわーるど☆」を歌う松嵜を見て、その姿が本当に諸星きらりに重なって見えることに不思議な感動を覚えた。2日目は、きらりんビームでダンサーが吹き飛ばされると、その背後にいる客席もウェーブのように一緒に倒れていった。この流れはこれからも定番になっていきそうだ。そんな楽しくて、キラキラな諸星きらりのステージ。だが、いつだって変わらず、どうすればもっときらりらしくなれるのか、きらりを輝かせられるのかを考え続けてきた松嵜が、今日この日さらに輝いて、きらりそのものに見えたことには理由があるはずだ。その答の一端は、松嵜と五十嵐が歌った「あんきら!?狂騒曲」にあったように思う。

『デレステ』楽曲として登場した「あんきら!?狂騒曲」は、当然リズムゲームの尺に合わせたGAMEサイズ。M@STER VERSION(いわゆるフルサイズのこと)が収録されるのは2017年5月31日発売予定の「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 11」なこともあり、M@STER VERSIONの正式な全編披露はこのライブが初となる。ゲームではあんきらならではの電波ソングらしい電波ソングという印象が強い楽曲だが、M@STER VERSIONの中盤は全く印象が変わる。楽曲途中で杏が「この歌終わりー」と勝手に曲を終わらせようとすると、駆け寄ったきらりがぷくーっとふくれて本気でぷりぷり怒り、その姿に杏もちょっとおどおど。怒って座りこむきらりと、そっぽを向いて立っている杏の角度は向かい合うでも背を向けあうでもない90度。だがやがてお互いの良さを改めて認めあった2人は手を取り合って立ち上がり、また一緒に歌い出す……という、かなりしっかりしたドラマが入れこまれていた。

この流れを見て思い出さずにいられなかったのが、『シンデレラガールズ』の初期に徳島マチ★アソビのステージなどでよく見た風景である「あんきら劇場」だった。当時、「お願い!シンデレラ ハピハピver.」の間奏で杏ときらりを中心に見せた寸劇は、松嵜自身が深夜まで台詞を考えて練習したものだ。どうすればもっと杏ときらりの世界を表現できるか、見守るプロデューサーを楽しませられるかを考え抜いたが故の、手作りのステージだった。今回「あんきら!?狂騒曲」の間奏で展開されたドラマは、それに似てはいるが非なるもの。楽曲のクリエイターや舞台の演出チームが、あんきらの世界をどう表現するかをキャストと一緒に考えて、バックアップをしていることが伝わってくるものだ。だからこそ五十嵐と松嵜も、演出をチームの仲間に委ねつつ、ころころと変わる杏ときらりの表情やふたりの距離感を表現することに全力を尽くすことができる。最初はキャストの個人的な愛情から出発したこだわりや見せ方が、理解あるスタッフの助力を得てさらに魅力的な演出に昇華される。それは、『アイドルマスター』の原風景を思い起こさせるものだった。

初披露にこめた想いがほとばしりそうな初日も、より完成度を増しつつ、松嵜が「ハグあげるに!」と五十嵐に抱きついた2日目もそれぞれに違った良さがあり、間違いなく宮城公演を代表するステージのひとつになった。数年ぶりのソロ新曲披露で初心に帰った気持ちでステージに立ったという五十嵐が、改めて今まですごした5年間の大きさや、パートナーの松嵜、プロデューサーたちと一緒にいる安心感を語っていたことが強く印象に残った。

前述の通り、今回披露されたソロ楽曲はほぼ新曲オンリーだったこともあり、各キャラクターと演者の新しい一面が各所で見えた。五十嵐の「スローライフ・ファンタジー」は動きのメリハリとかわいさを大事にしながらも、どこか人ならざる雰囲気。テーマパークめいたステージセットと一体になった表現だ。五十嵐は2日目に、この曲も「あんずのうた」のように育てばいいなぁ、と語っていた。上坂の「たくさん!」は、本当にかわいいの一言。上坂のリズミカルな歌唱とあいまって、「たくさん」のフレーズが音楽的に、不思議な楽しさを伴って響く。上坂がスカートをちょいとつまむ仕草もとてもキュートで、明るくほんわりして、ちょっとはしゃいだアーニャの一面がよく出ていた。

ソロで新しい表現を見せたといえば、なんといっても大空の「cherry*merry*cherry」だ。この曲で元気にうきうきと歌っている姿は、アニメや、様々な物語の中で、小さな勇気を手に入れた智絵里ならではの表現だろう。歌詞が12時を目指して時を刻むところで、大空が自身の腕を時計の針に見立てる動きのリズミカルさ、軽やかさがとても面白かった。デートの前の心浮きたつ気持ちを歌う楽曲だけに、テーマパークのようなセットでの歌唱は、大空自身もいっそう気持ちが入ったとのことだった。

千菅の「One Life」は、待望のライブ初披露。「お前らに刻んでやるぜ。準備はいいか!?」の叫びとともに、まっすぐ貫くように想いをこめていく歌唱はこれぞ王道という感じのロック感だ。ライブでの歌唱として印象的だったのはサビ周りの畳み掛けで、あまり“歌い上げない”こと。喉や音域の限界近くで歌う全力感で説得力を出すのではなく、力強いボーカルに語りかけるようなニュアンスを込めていき、その積み重ねが強いメッセージ性につながっている印象だ。決め所でのダンサーズの全力エアギターも見どころだった。2日目に千菅が、シンプルな原曲の音に、ライブでは歓声が加わることで違ったイメージになることを語っていたのも印象的だった。

テーマパークのお城のようなセットにぴったりとハマっていたのが、三宅の「メルヘン∞メタモルフォーゼ」だ。三宅の動きにSEがつき、「メルヘンメタモルフォーゼ!」の叫びに合わせて世界が一変するようなキラキラの映像エフェクトが表示される。スーパーヒロインに変身した安部菜々(三宅)はスクリーンの怪人とバトルするのだが、三宅のパンチやキック、必殺技のモーションに合わせて画面の中の怪人がダメージを受けたり、反対に怪人の攻撃で三宅とダンサーたちがふっとばされたりする。この動きのシンクロは、本番直前まで三宅とスタッフがこだわりぬいて合わせて作りこんだとのことだった。客席がパワーを送る「ミンミンミン!」の大合唱は、『シンデレラガールズ』ライブの新しい名物のひとつになるかもしれない。2日間をやりきった三宅は(歌詞の内容に絡めて)10年後もこの曲を歌うことを高らかに宣言。客席の声援とパワーは確かに彼女に届いている様子だった。

アンコールのステージも、中心になったのは、やはり松嵜。2日目に大空が松嵜を「座長」と評していたが、出演メンバーそれぞれを気にかけ、ステージ全体の演出にもこだわりながら関わっていく松嵜のスタンスは「リーダー」よりも座長という呼び名がたしかにしっくりくる。そうやってライブを引っ張る松嵜に、いってらっしゃい、とライブ前にメールを送ってきたのが島村卯月役の大橋彩香だった、というエピソードもとても良かった。どちらかといえば縁の下の力持ちとして、常に自分のことより周りのことを気にかけてきた諸星きらりというキャラクター。彼女を身に宿した松嵜が、ステージのセンターで「アイマスですよ、アイマス!」の大合唱の音頭を取る。それは宮城から始まる、『シンデレラガールズ』の新しい風景を象徴するような光景だった。(後編に続く)

Text By 中里キリ

「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!!」宮城公演初日
2017.05.13 セキスイハイムスーパーアリーナ
セットリスト
M01:Shine!!(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
M02:にょわにょわーるど☆(松嵜)
M03:cherry*merry*cherry(大空)
M04:スローライフ・ファンタジー(五十嵐)
M05:Flip Flop(鈴木、のぐち、松嵜)
M06:Angel Breeze(東山)
M07:たくさん!(上坂)
M08:ミラクルテレパシー(鈴木+金子、杜野)
M09:Nocturne(東山、上坂、千菅)
M10:Orange Sapphire(松嵜、鈴木、伊達、のぐち、杜野)
M11:Nation Blue(桜咲、上坂、千菅、東山、佐藤)
M12:キラッ!満開スマイル(大空、金子、五十嵐、三宅、朝井)
M13:BEYOND THE STARLIGHT(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
M14:One Life(千菅)
M15:気持ちいいよね 一等賞!(杜野)
M16:メルヘン∞メタモルフォーゼ!(三宅)
M17:∀NSWER(朝井、佐藤、桜咲)
M18:あんきら!?狂騒曲(五十嵐、松嵜)
M19:純情Midnight伝説(千菅、伊達、のぐち、金子、三宅)
M20:Lunatic Show(桜咲、朝井、杜野、佐藤)
M21:サマカニ!!(東山、大空、伊達、のぐち、鈴木)
M22:夢色ハーモニー(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
-ENCORE-
EC01:EVERMORE(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)
EC02:お願い!シンデレラ(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS)

(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

(C)BNEI/PROJECT CINDERELLA

関連リンク
『アイドルマスター シンデレラガールズ』公式サイト