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「Windows 10」の次期大型アップデートに搭載される新機能とは

@IT 5/16(火) 8:25配信

 米マイクロソフトは2017年5月11日(米国時間)、同社の年次開発者会議「Build 2017」で、Windows 10の次期大型アップデート「Windows 10 Fall Creators Update」の詳細を発表した。

「Timeline」機能の様子

 Windows 10 Fall Creators Updateは、2017年後半にリリースされる予定。マイクロソフトによると月間アクティブ台数が5億台に達したというWindows 10デバイス上で、アプリ開発のための新しいデザインシステム、Windows/iOS/Androidで共通したマルチプラットフォーム対応の開発環境、新しいWindowsストアアプリ、開発者がWindowsを快適に利用できる新ツール、マーカーを不要とするWindows Mixed Reality(MR)モーションコントローラーなどを提供する。

 マイクロソフト Windows & Devices担当エグゼクティブバイスプレジデントのテリー・マイヤーソン氏は、「マイクロソフトは、誰もが持つクリエイター精神を支援するためにWindows 10を設計している。Windows 10 Fall Creators Updateの新機能によって、これまでなかった(MRなどの)革新的な機能や、モダンな統一されたデザインによるデバイス間で共通の体験、そして、コンピューティングの未来に向けた開発者の創造活動を支援する」と述べている。

●Windowsデバイスでの「次世代の創造性」を築く新デザインシステム

 Windows 10 Fall Creators Updateでは、アプリ開発のための新たなデザインの仕組みとなる「Microsoft Fluent Design System」を採用する。これは、あらゆるデバイスにおいて動きや見た目、操作体系などを共通化できるようにする環境を提供するもの。マルチプラットフォーム対応の表現力豊かなアプリの構築を支援する。

●Windows、iOS、Androidで共通のWindows体験を提供

 Windows 10 Fall Creators Updateでは、iOSやAndroid搭載デバイスにおいても、Windows PCと同じ「共通のWindows体験」を提供する機能を拡充させる。

 例えば、クラウドを軸に人、会話、プロジェクト、コンテンツの連携を支援するフレームワーク「Microsoft Graph」を用い、Windows、iOS、Androidの各デバイスをシームレスに横断できる仕組みを用意する。主要な機能は以下の通り。

○Timeline

 使うデバイスや利用場所を問わずに、直前まで作業していたファイル、アプリ、Webサイトを再開、または過去の作業へさかのぼれるようにする「Timeline」機能を提供する。

○コルタナの機能強化

 Windows 10 Fall Creators Updateでは、音声認識対応アシスタント機能「コルタナ」の利用範囲も拡充。上記のTimelineと連携し、Windows、あるいはiOS、Androidのどのデバイスからでも、中断した作業をすぐ再開できる仕組みを実装する。

○デバイス間のクリップボード共有機能

 異なるデバイス間でクリップボードを共有できる機能を提供する。例えば、Windows PCでコピーした内容を、スマートフォンの検索窓にペーストするといった連携を手軽に行えるようにする。

○OneDrive Files On-Demand

 OneDriveの「Files On-Demand」機能がWindows 10にも加わる。OneDrive上に保存するデータをローカルと完全同期せず、使うときだけダウンロードして活用したり、クラウドのままリードオンリーで表示したりできる機能。Windowsエクスプローラには、そのファイルが「どこにあるのか」「どう管理するファイルなのか」のステータスが表示されるようになる。「(セキュリティ性確保のために)ローカルに残さない」といった運用も容易になる

○写真と動画の新しい活用シーンを提案する「Windows Story Remix」

 AI(Artificial Intelligence:人工知能)とディープラーニングを活用して、ユーザーの写真と動画を整理して動画ストーリーを自動作成するWindowsストアアプリ「Windows Story Remix」を提供する。

 Windows Story Remixは、Microsoft Graphを使用してデバイス間でユーザーを結び付ける。日記、写真、動画を組み合わせて、サウンドトラック、テーマ、トランジションなどを駆使したムービーを自動的に作り出す。写真や動画に3Dオブジェクトを追加してMR(Mixed Reality:混合現実)を駆使した新しい方法でストーリーを表現したり、写真や動画をキャンバスにしてWindows Inkで書き込んだりすることもできる。

●「iTunes」がWindowsストアで提供される

 Windowsストアでは2017年後半までに、人気アプリケーションをさらに追加していく。

 まず、アップルの「iTunes」が2017年末までにWindowsストアで提供される予定。Windowsユーザーは、Apple MusicとiTunes Storeを含むiTunes機能をストアアプリ経由で利用できるようになる。また、iPhoneなどのiOSデバイスも、Windows 10およびWindows 10 S搭載PC上でサポートされるようになる。

 この他、米オートデスクや独SAPなどがWindowsストアアプリの開発を推進する。例えばオートデスクがWindowsストアアプリ版として2016年夏にリリースした、ペイントとドローツール「SketchBook」は、2017年平均35%の成長率を維持し、同社で特に成長したプラットフォームとなったという。今後オートデスクは、3Dゲームエンジンとリアルタイムレンダリングのソフトウェア「Autodesk Stingray」にWindows MRを取り込む予定としており、SAPも「SAP Digital Boardroom」のWindowsストアアプリ開発を進めていくという。

●全ての開発者にとってWindowsを快適な存在にする

 マイクロソフトは、WindowsとVisual Studioをあらゆる開発者にとって最適な環境にする方針を打ち出している。Windows PCやWindowsアプリケーションだけでなく、開発者があらゆるプラットフォームとデバイスを対象にできる開発環境を提供するというものだ。

 Build 2017では、以下の開発者向けツールが発表された。

 2017年後半に「.NET Standard 2.0 for UWP」と「XAML Standard」をリリースする。Web、C++、.NET、Windowsストアアプリ開発者に向け、Windows上でのマルチプラットフォーム開発作業を支援する。プラットフォームの垣根をなくす「Project Rome」も推進する。Build 2017では、UWP、Androidに加え、iOSのサポートも発表。開発者はモダンなコードによってWindowsとMicrosoft Graphを活用できるようになる。

 Windows PCからiOSアプリの構築、テスト、デバッグを行える「Xamarin Live Player」も提供する。開発者はVisual StudioとiPhoneがあれば、iOSネイティブアプリの構築が可能になる。

 この他、Linuxディストリビューションの「Ubuntu」をWindowsストアから提供する。Linuxディストリビューションは、「SUSE Linux」と「Fedora Linux」とも協業し、「Windows Subsystem for Linux」としてWindowsストアで提供することも発表した。2017年5月現在、WindowsはWindowsアプリとLinuxアプリを並べて実行できる唯一のプラットフォームであると述べている。

●マーカーが不要な「Windows MRモーションコントローラー」を投入

 Windows 10 Fall Creators Updateでは、MR機能の強化が一層推進される。マイクロソフトは、この新しいコンピューティングフロンティアの構築のために開発者と協力し、あらゆる開発者にWindows MRを入手してほしいと考えている。例えば米国とカナダでは、Acer製(299ドル/約3万4000円)、HP製(329ドル/約3万7000円)の「Windows MR Headset Developer Edition」をMicrosoft Storeから予約可能になった。出荷開始は2017年夏、他国向けにも順次計画中としている。

 さらにマイクロソフトは、マーカーを不要とするWindows MRモーションコントローラーも発表した。2017年5月時点で世界初という。同製品はWindows MRヘッドセットのセンサーを使って、従来より正確でレスポンシブな視界内のトラッキングが行える。この新技術搭載MRモーションコントローラーは、デバイスパートナーが2017年のホリディシーズン(年末)の一般販売を目指して開発中という。

最終更新:5/16(火) 8:25

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