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Windows 10 Creators UpdateのWindows Updateに追加された新機能「更新の一時停止」を試す

@IT 5/16(火) 6:10配信

 Windows 10では、Windows Updateの機能がWindows 8.1以前から大きく変更されました。従来のWindows Updateと比べて改善点も多々ありますが、多くのユーザーが不満を持つ仕様も幾つかあります。

新機能「更新の一時停止」って何?

 例えば、Windows 10ユーザーの方は、PCでの作業中に以下のような場面に遭遇したことはありませんか。

・PCで作業をしていて、ちょっと休憩して戻ってきたら、(更新のための)再起動が始まっていた(あるいは再起動した後だった)。
・早朝、PCで仕事の準備をして、いざ出かけようとしたら、(更新のための)再起動が始まってしまった。
・急ぎの文書を作成中に、あるいは重要な顧客へのプレゼン中に、PCが突然、(更新のための)再起動を始めてしまった。
・外出先のインターネット環境がやけに遅いと思ったら、(更新のために)Windows Updateがダウンロードを始めていた。

 Windows 10の品質更新プログラムの多くは「累積的な更新プログラム」であり、再起動を要求します。Windows 10の「アクティブ時間」(既定は8:00~17:00)内であれば、再起動は保留されます。また、更新のために保留中の再起動にユーザーが気が付けば(アクションセンターの通知などで)、最大7日間(ポリシー設定で最大30日まで延長可能)、再起動を延期することができます。

 しかし、再起動の通知を見逃して気が付かなかった場合、アクティブ時間外になると、更新のために半ば強制的な再起動が始まってしまう場合があります。アプリケーションが再起動後の自動復旧に対応していなければ、作業中の未保存のデータは失われてしまいます。それも問題ですが、とても急いでいるときや顧客へのプレゼン中など、都合が著しく悪いタイミングで再起動が始まってしまうともう大変です。

 Windows Updateによる“強制的な再起動問題”が、Windows 10 Creators Update(バージョン1703)でようやく改善されました。それが、Windows Updateの「詳細オプション」に追加された「更新の一時停止」機能です。ただし、この機能が提供されるのはPro、Enterprise、Educationエディションであり、残念ながらコンシューマー向けのHomeエディションには提供されません。

 Windows 10 Pro、Enterprise、Education バージョン1703のWindows Updateには、「更新の一時停止」以外にも幾つか変更点があります。例えば、「アクティブ時間の変更」では、最大18時間の範囲で設定できるようになりました。「更新の履歴」では、更新プログラムの履歴を種類別(機能更新、品質更新、ドライバ更新、他の更新)で表示するようになりました。

 「詳細オプション」にも多くの新しい項目が追加されていますが、「Current Branch」と「Current Branch for Business」の選択は、以前のバージョンの「アップグレードを延期する」「機能の更新を延期する」を置き換えるものです。Windows 10 バージョン1703での「Current Branch」の選択(既定)は、「アップグレードを延期する」「機能の更新を延期する」をオフにした状態、「Current Branch for Business」の選択はオンにした状態と同じです。

 その他の項目も、実は1つ前のWindows 10 バージョン1607の「Windows Update for Business」の機能と同等のもので、Windows 10 バージョン1607ではポリシー設定でしか制御できませんでした。Windows 10 バージョン1703では、Windows Update for Businessのポリシー設定と同じ制御を、クライアントPCの「設定」からできるようになったのです。「更新の一時停止」機能もバージョンごとに仕様は違いますが、Windows 10 バージョン1511からWindows Update for Businessのポリシー設定に用意されていました。

 「更新の一時停止」のWindows 10 バージョン1703での変更点は、クライアントPCの「設定」から簡単にオン/オフできるようになったこと、そして明示的な日付(開始と期限)に基づいてオフにできるところです。Windows 10 バージョン1607のポリシー設定では、品質更新プログラムについては7日間、機能更新プログラムについては35日間、または手動でオフにするまで一時停止という仕様でしたが、Windows 10 バージョン1703では一時停止を開始する日付を保持するようになりました(クライアント側の「更新の一時停止」とは少し異なります)。なお、「更新の一時停止」をオンにしても、ストアアプリ(UWPアプリ)の更新や「Windows Defender」の定義の更新は行われるようです。

 Windows Updateの細かな仕様変更については、別の機会にあらためて説明したいと考えています。今回は、Windows 10 バージョン1703向けに2017年4月26日に配布された累積的な更新プログラム「KB4016240」(ビルド番号15063.138以前から15063.250への更新)で、「更新の一時停止」の動作を試してみました。ただし、35日も待っていられないので、一時停止が自動的に解除されるところまでは確認していません。

●更新プログラムのチェック中に停止してみた

 「更新の一時停止」は、いつでもオンにできるようです。例えば、「更新プログラムのチェック」ボタンが表示されている状態でも、「更新プログラムのチェック」ボタンを手動でクリックするか、自動的な更新チェックの開始で「更新プログラムを確認しています……」の状態であっても一時停止が可能です。

 2017年4月26日に、Windows 10 バージョン1703のビルド番号15063.138でWindows Updateを手動で実行し、すぐに「詳細オプション」を開いて、「更新の一時停止」をオンにしてみました。このPCでは、「最大7日間」更新プログラムのインストールを一時停止できるという説明があり、オプションをオンに切り替えると、その下の表示が「今すぐ一時停止すると、更新が2017/05/03まで一時停止されます」から「更新プログラムは2017/05/03まで一時停止されます」となりました。なお、一時停止が「最大35日間」ではなく、「最大7日間」となっている点については、後で触れます。

 「更新の一時停止」をオンにした後でWindows Updateの画面に戻ると、「ユーザーにより、このデバイスの更新プログラムが一時停止されました。更新プログラムの再開時刻については、[詳細設定]のオプションを選択してください」と表示されました。

 2文目の“再開時刻”と“[詳細設定]のオプション”は、それぞれ“再開日”と“[詳細オプション]”が正しいと思います。細かいことですが、この辺りの表現に一貫性がないと、利用者は困りますよね。ちなみに、これは日本語化の問題です。英語版では「You have paused updates for this device. For more info on when updates will resume, select Advanced options.」となっています。

 「更新の一時停止」をオンにすると、その期限まで、あるいは手動でオフに切り替えるまで、更新プログラムのチェックが行われなくなります。このPCの場合は、4月26日に配布された累積的な更新プログラムKB4016240のインストールを一時的にブロックできるというわけです。期限内に手動でオフに戻すと、更新プログラムのチェックから再開され、それが完了するまでオン/オフはできなくなります。

 筆者環境のPCでは、KB4016240がインストールされ、再起動して更新が完了すると、再びオンにできる状態になりました。なお、実際に確認したわけではないですが、一時停止の期限になると、自動的に更新のチェックが始まり、更新プログラムの確認と更新があればインストールが行われ、元の状態(オンにできる状態のオフ)になるという流れになると思います。

●KB4016240の更新の再起動保留中に停止してみた

 更新プログラムのダウンロードやインストールが始まってしまった場合はどうなるのか――こちらも試してみました。

 複数台のWindows 10 バージョン1703のビルド番号15063.138でWindows Updateを手動で実行し、累積的な更新プログラムKB4016240を検出して、ダウンロード開始後、インストールの準備中、更新のための再起動待ちになっている状態の全ての時点で、「更新の一時停止」をオンにしてみましたが、いずれも更新プログラムKB4016240のインストールは中止されました。

 PCを再起動しても、更新プログラムKB4016240がインストールされることもありませんでした。なお、再起動を必要としない更新プログラム(Windows Defenderの定義やAdobe Flashの更新など)は、タイミングによっては一時停止する前にインストールが完了してしまうと思います。

 毎月第二火曜日のPatch Tuesday(日本はその翌日の水曜日)に更新がくるのが分かっていて、それに備えることができる以前のWindowsとは異なり、Windows 10の更新プログラムは、いつやってくるか分かりませんし、多くの場合、再起動が必要な累積的な更新プログラムがやってきます。

 「更新の一時停止」機能を利用すれば、今は都合が悪いと分かっているときに、一時停止することができますし、気が付いたらダウンロードやインストールが始まっていたという場合でも、自動的な再起動が開始される前であれば、それを中止できます。残念なのは、Windows 10 Homeにはこの機能がないこと。Windows 10 Homeユーザーは、これまで通りのWindows Updateと付き合っていく必要があります。これまで通りといっても、従量制接続でもダウンロードが行われる場合があるなど、幾つか変更された仕様があるので注意してください。

●更新の一時停止は最大35日? それとも最大7日?

 「更新の一時停止」機能は、更新プログラム(品質更新と機能更新)のチェックとインストールを最大35日間一時停止できます。しかし、今回試したPCでは「最大7日間」の場合と、「最大35日間」の場合がありました。この期限の違いは、ProやEnterpriseのエディションの違いからくるものではありませんし、なぜ異なる2つの期限があるのかについての公式な情報を筆者はこれまでのところ入手できていません。

 これはあくまでも筆者の想像ですが、そのPCのこれまでの更新の状況をWindows 10が診断して、期限を短縮したり、延長したりしているのではないかと思っています。期限の異なる2台のPCで、レジストリの値を比較してみたところ、「最大7日間」となっていたPCには、「HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\WindowsUpdate\UX\Settings」キーに「FlightSettingsMaxPauseDay」値が存在し、データに「7」が設定されていました。

 一方、「最大35日間」のPCには、「FlightSettingsMaxPauseDay」値自体が存在しません。試しに、「最大7日間」のPCの「FlightSettingsMaxPauseDay」値を削除してみたところ、「最大35日間」にすることができました。おそらく、「FlightSettingsMaxPauseDay」値は、Windows 10により自動管理されているものであり、むやみに削除するべきではないのかもしれません。

 しかし、もし「最大7日間」になっていて、これから7日以上にわたってWindows Updateには都合が悪いと分かっている場合は、「FlightSettingsMaxPauseDay」値の削除の方法を知っておいても損はないでしょう。例えば、1週間以上、PCをフル稼働させないと完了しない、プロセッシングタスクを実行しなければならない研究者や数学者の方には有効かもしれません。

●Homeエディションの救世主? 「追加の通知」

 「更新の一時停止」機能は、Homeエディションでは利用できませんが、「追加の通知」という新機能がエディションに関係なく利用可能になりました。

 以前は再起動の通知が1回限りであったため、通知を見逃してしまう可能性がありました。「追加の通知」機能をオン(既定はオフ)にすると、再起動の通知回数を増やすことができます。実際にどの程度、通知が増えるのか、確認できていませんが、Windows Updateによる突然の再起動を回避できるチャンスが増えるかもしれません。

 ただし、「追加の通知」機能をオンにしたとしても、通知の回数が増えるだけのようで、再起動が始まる直前に必ず通知される動作になるわけではないようです。ユーザーがその通知を確認するまで待っていてくれるというものではありません。

[山市良,テクニカルライター]

最終更新:5/16(火) 6:10

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