ここから本文です

知らないあなたへ、知っているあなたも Google Chrome再入門

@IT 5/16(火) 6:10配信

 Googleが開発しているWebブラウザ「Google Chrome(グーグルクローム、以下Chrome)」は、2016年5月にPC版の世界シェアが1位になったと報道されるなど、明らかに多くのユーザーに利用されている。2017年現在では、もはや「シェア1位」がニュースにならないほどだ。なぜWindows標準のInternet Explorer(IE)やMicrosoft Edgeを超えるほどの人気を博しているのだろうか?

複数台のPCやスマホ間で「Chrome同士で同期」する機能が便利

 本稿では、まだChromeを使ったことのないビジネスパーソンを主な対象として、Chromeを利用するメリットは何か、注意点や問題点はないのか、10分程度で分かるように整理してみた。

<内容>
(1)スマホ/タブレット/PCの各種OSを幅広くサポートしている
(2)複数のChrome間で設定やタブなどを自動で同期・共有できる
(3)機能の追加・増強がしやすい
(4)最新のWeb技術/サービスが利用しやすい
(5)更新に手間が掛からない
(6)リモートデスクトップやデータ圧縮など便利な機能がある
(7)Active Directory/グループポリシーで展開・設定が可能
(8)PC版のChromeはメモリ消費量が多い?
(9)積極的なセキュリティ/プライバシー対策の功罪?
(10)古いIEの仕様に合わせたWebを表示できないことがある
(11)プライベートなデータの取り扱いを意識すべき


●(1)スマホ/タブレット/PCの各種OSを幅広くサポートしている

 Chromeは、次のように現在主流のスマートフォン、タブレット、PCのOSで利用できる(リンク先はインストーラのダウンロードページ)。いずれも無償だ。

・iPhone/iPad/iPod touch: iOS9以降
・Androidスマートフォン/タブレット: Android OS 4.1(Jelly Bean)以降
・Windows: Windows 7/8.x/10
・Mac: Mac OS X 10.9(Mavericks)以降
・Linux: Debian 8以降、Fedora Linux 24以降、openSUSE 13.3以降、Ubuntu 14.04以降

 そのため、例えばWindowsからMacへ、あるいはiPhoneからAndroidスマートフォンへ乗り換えても、おおよそ同じ使い勝手のChromeを利用し続けることが可能だ。

 Chromeが使える「変わった」デバイスとしては、「Chromebook」が挙げられる。これはChrome上でクラウドサービスやWebアプリを利用することに特化した端末だ。廉価で管理・運用の手間が少ないといったメリットがある。


●(2)複数のChrome間で設定やタブなどを自動で同期・共有できる

 Chromeでは、Googleアカウントを利用して、ブックマークやID/パスワード、閲覧履歴、各種設定、開いているタブなどを複数のChrome間で同期・共有できる。いったん同期の設定を済ませると、あとはユーザーが操作しなくても、自動的かつ相互に同期が行われる。

 例えば、仕事場のChromeでブックマークを追加しておくと、外出中にスマートフォンのChromeでそのブックマークを開ける。認証が必要なサイトでは、ID/パスワードを保存しておけば、どのデバイスのChromeでも同じように認証できる。

 新たにChromeをインストールしたときには、既存のChromeと同じGoogleアカウントで同期の設定をするだけで、同じ環境を自動で再現できるのも便利だ。

●(3)機能の追加・増強がしやすい

 PC(デスクトップ)版のChromeには、「拡張機能」または「アプリ」という機能の追加・増強のための仕組みがある(モバイル版にはインストール不可)。

 Chromeの新規タブから「ストア」アイコンをクリックして「Chromeウェブストア」を開くと、(Google自身を含む)世界中の開発者/企業によって制作された多種多様な拡張機能/アプリが表示される。そこで欲しい機能を見つけたら、あとは数ステップの操作でChromeにインストールできる(ただしGoogleアカウントが必要)。拡張機能/アプリ自体は無償でインストールできるものがほとんどだ。

 参考までに筆者がよく利用している拡張機能/アプリを紹介しておく。

LastPass / パスワード管理ツール
Pushbullet / スマートフォンに届いた通知をPC版Chromeに転送する
JSON Formatter / JSON形式のデータをツリー状にフォーマットして表示する
Google Analytics Debugger / Google Analyticsのトラッキング状況を調べる
GetTabInfo / 開いている全てのタブのタイトルやURLの一覧を生成する
feedly / ブラウザベースのRSSリーダー


●(4)最新のWeb技術/サービスが利用しやすい

 Chromeには、HTML5.xやHTTP/2、CSS Grid Layout、WebAssemblyといったWebの新しい技術や規格が積極的に取り入れられている。Webサービス/クラウドサービスの開発側は、こうした新技術を積極的に活用して新たなサービスを効率よく開発・提供しようとする。その結果、新サービスが始まったときからChromeがサポートされている、ということがよくある。

 加えて、最近はChromeのユーザーが増えたこともあって、オンラインバンキングなど、以前より多くのサービスがChromeに対応するようになった。


●(5)更新に手間が掛からない

 Chromeはデフォルトで、最新版へのアップデートが見つかったらバックグラウンドでダウンロードし、Chromeの再起動時に自動で更新する(再起動以外にユーザーは操作する必要がない)。また拡張機能も自動的に更新される。いずれの場合も、システムの再起動は不要だ。

 その他、新たな脆弱性がよく発覚して更新版が頻繁にリリースされるFlash Playerは、Chromeに統合されているため、Chromeと同時に最新版へ更新される。

 不具合でもない限り、Chromeの更新には注意を払わなくて済むだろう。

●(6)リモートデスクトップやデータ圧縮など便利な機能がある

 執筆時点でChromeの最新版はVer. 58と、たくさんのバージョンアップを重ねてきた。その過程で追加されてきた便利な機能を、幾つか紹介する。

Chromeリモートデスクトップ / 2つのPC版Chrome間で、一方から他方のデスクトップに接続して、リモート操作を可能にする
データセーバー / Googleのサーバを介することで、Chromeの通信中のデータを圧縮して、通信量を減らす
セーフブラウジング / フィッシングサイトやマルウェアを検知して、ブロックしつつユーザーに警告を発する


●(7)Active Directory/グループポリシーで展開・設定が可能

 次はシステム管理者の視点でChromeを見てみよう。

 Googleは「Chrome for Work」で、企業内システムでChromeを管理・運用するための仕組みを提供しており、次のような機能を利用できる。

・Active DirectoryとMSI形式のインストーラを組み合わせたChromeの大量展開
・グループポリシーによるChromeの設定の集中管理
・G Suite(旧Google Apps)によるChromeの設定の集中管理

 Chrome for Work(旧Chrome for Business)の詳細は、特集「Google Chrome組織導入への第一歩を参照していただきたい。

●(8)PC版のChromeはメモリ消費量が多い?

 ここからはChromeの「気になる点」に注目してみる。

 PC版のChromeで多数のWebページ(タブ)を同時に開いていくと、メインメモリがどんどん消費されていく傾向がある。この状態で、大量にメモリを消費するアプリを使おうとすると、メモリ不足で起動に失敗したり、ディスクスワップが生じて起動に時間がかかったりすることがある。

 このような現象は、Chromeが複数のタブを複数のプロセスで制御する「マルチプロセスアーキテクチャ」を採用していることが影響している。

 ただしこのアーキテクチャには、Webアプリのバグといった理由から、あるタブのプロセスがクラッシュしても、別のプロセスで表示されているタブは無事で済む(可能性が高い)、という大きなメリットがある。

●(9)積極的なセキュリティ/プライバシー対策の功罪?

 Chromeでは、セキュリティやプライバシー上、危険性が高いと判断された仕様は、積極的に廃止される傾向がある。

 例えば、他のブラウザに先んじる形で、Chromeのバージョン50から、現在地情報を取得するWebページはhttpsによる暗号化通信が必須になった。そのため、httpでしか接続できない地図アプリをChromeで開くと、現在地が正しく表示されない。

 また、HTTPSで用いられる暗号化方式のうち、古くて強度の低いものは、接続時にChromeが拒否するようになっている。イントラネットに残る古いWebアプリでは、こうした旧式の暗号化方式が残っていて、Chromeでは表示できないことがある。

 どちらの例もChromeの採用した対策の方が安全なことは間違いない。だが、例外的な環境/状況ではChrome以外のブラウザで対処せざるを得ない場合がある、ということも知っておいた方がよいだろう。

●(10)古いIEの仕様に合わせたWebを表示できないことがある

 例えば、サポートの終了したIE6~IE8の独自仕様に合わせたWebページや、ActiveXコンポーネントが必須のWebアプリは、Chromeをはじめとする最新のブラウザでは表示できなかったり、表示が乱れたりする。

 ただし、Windows版Chromeには回避策がある。Chromeから、Windows OSに内蔵されているIEコンポーネントを呼び出すことで、IEでしか表示できないページを開く、という方法だ。次のような拡張機能を用いることで、あらかじめ登録した特定のURLだけ、自動的にIEコンポーネントに切り替えて描画することが可能だ。

・一般ユーザー向け: IE Tab
・企業内システム向け: 従来のブラウザのサポート

 しかし、それでも正しく表示できない、あるいは挙動が不安定なWebページもあり、これらの手段は万能ではない。そのため、必要に応じてChromeの他にIEも起動して、サイトによって使い分けるという運用をしているユーザーも少なくない。

●(11)プライベートなデータの取り扱いを意識すべき

 前述のブックマークなどの同期機能では、パスワードなど秘匿すべきプライベートなデータが、インターネット上にあるGoogle管理下のサーバ内に格納される。

 もちろん、みだりに漏えいしないように対策は施されている。PCとGoogleのサーバ間の通信路は暗号化され、双方の保存場所でもデータは暗号化できる他、ユーザーが明示的にGoogleのサーバからデータを全て削除することも可能だ。

 それでも、こうした機能を利用するなら自分のプライベートなデータがどのように扱われるのか、意識しておくべきだろう。

 最後に、ChromeとIE、Microsoft Edgeを比較しつつ、まとめてみよう。

 まずIEは、JavaScriptの実行速度がChromeより劣る傾向があり、それがJavaScriptを多用する今どきのWebサービスのパフォーマンスやレスポンスに悪影響を与えやすい。一方Microsoft Edgeは、拡張機能が利用できるようになったものの、その数はChromeに遠くおよばない。

 そしてスマートフォン/タブレットのユーザーにとっては、IEもMicrosoft Edgeも、iOS版やAndroid OS版が提供されていない点がChromeと比べて大きく見劣りする。

 もし、Windows PCに最初からインストールされていて、すぐ使えるから、という理由だけでIEやMicrosoft Edgeを使っているなら、一度Chromeを試してみるのは決して悪いことではないだろう。



■更新履歴
【2017/05/15】最新の情報を反映しました。
【2016/06/10】最新の情報を反映しました。
【2014/06/30】最新の情報を反映しました。
【2014/05/03】Google Chromeのインストール方法の説明ページやインストーラーのダウンロードページへのリンクを追記しました。
【2012/06/14】初版公開。

[島田広道,デジタルアドバンテージ]

最終更新:5/16(火) 6:10

@IT