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販売好調! 花月嵐の家系ラーメン「藤崎家」とは

ITmedia ビジネスオンライン 5/16(火) 7:10配信

 全国に約240店を展開するラーメンチェーン「らあめん花月嵐」(以下、花月嵐)。この花月嵐が3月より販売している期間限定商品が好調だ。その商品とは、横浜家系ラーメン「藤崎家」である。

【嵐げんこつらあめん】

 花月嵐では、収益の4~5割を占める主力の「嵐げんこつらあめん」に加えて、毎月3カ月間の期間限定のご当地ラーメンを投入。全国の店舗で常にさまざまなご当地ラーメンを食べることができるのが特徴だ。

 チェーンを運営するグロービート・ジャパンは、「藤崎家は特に人気。通常、期間限定商品は売れても20万~25万食前後だが、藤崎家は40万食程度売れるだろう(3カ月間で)」と自信を見せている。6月初旬まで売る予定だが、計画以上に売れてしまい、販売を終了している店もあるという。

 横浜家系ラーメンは、神奈川県横浜市発祥で、豚骨しょうゆをベースとしたスープと太いめんが特徴だ。その横浜家系ラーメンが花月嵐に初めて登場したのは2005年。横浜家系ラーメンとして「ラーメン街道一番星」などを販売。その後、商品名や味を改良し、今回の藤崎が8作目となる。

 藤崎とは同社の商品開発部で“スープの鬼”と呼ばれる藤崎憲治氏(アニマル藤崎)のことを指している。その藤崎氏が「これこそが俺が探し続けた味」とお墨付きを与えたことから藤崎家の名称を付けたという。

 藤崎氏自らの名を冠した藤崎家が初めてお披露目されたのは2016年6月。通常は人気商品だったとしても再販するときは1年以上間隔を空けるが、反響が大きかっため、1年を待たずしてのカムバックとなった。

●“藤崎流”家系ラーメン

 藤崎氏は、延べ150作にも上る期間限定ラーメンのほぼ全てを作ったと言っても過言ではないほどのラーメンマエストロだ。その藤崎氏をもってしても、横浜家系ラーメンは難しい料理で、完成形まで試行錯誤に10年以上の歳月を費やしたという。

 家系ラーメンは、濃厚なとんこつしょうゆスープ、チーユ(鶏油)、スープに負けない太めんのバランスが重要。濃厚なスープは煮詰めて作るが、朝でき上がった状態を夜まで維持する品質管理が難しく、どうしても味がブレてしまいがちだ。花月嵐では、どの店でどの時間帯に食べても、同じ味になるように製法が標準化されている。

 また、他の家系ラーメンの店ではスープが濃厚過ぎると感じる人のために、卓上に無料トッピングの刻み生姜が置いてあるが、花月嵐では置いていない。最初からスープに生姜を溶け込ませて、スッキリ感を出している。そのため、藤崎家の味は口に運んだときには濃厚に感じるが、後味はスッキリしており、ついつい癖になる仕様となっている。

 脂っこく見えるラーメンであるのに、スープにあっさり感、スッキリ感があるのは、主力商品「嵐げんこつらあめん」の特徴でもあり、藤崎家は花月嵐の作風によって表現された家系ラーメンの新しい形と言える。

●期間限定のご当地ラーメンを全国で展開

 ではなぜ、同社は横浜家系ラーメンのような、主力商品と毛色の違うラーメンを期間限定で売るのか。

 同社が直営1号店となるラーメン専門店「花月」をオープンしたのが92年。最初はしょうゆラーメンの店としてスタートしたが、翌93年に嵐げんこつらあめんのルーツとなる「ニンニクとんこつラーメン」を販売した。当時は九州とんこつラーメンのブームがあり、その潮流に乗ってヒットした。

 そこで花月は個人商店が7割を占めると言われるラーメン業界も、ハンバーガー、牛丼のような外食チェーンの時代になると考え、ラーメンチェーンを目指した。94年には法人改組し、フランチャイズ1号店をオープンさせている。

 期間限定ラーメンは全国展開していく中、常に店から新しい商品を発信して、顧客の来店動機につなげるために考案された。ご当地ラーメンを全国の店で提供したところ、「世の中にはこんなラーメンもあったのか」と大きな反響となり、期間限定ラーメンの企画が定着した。過去には「広島 尾道ラーメン 彩海」や「新潟 燕三条系ラーメン旬香」などが人気を集めた。

 他にも、例えばジロリアンと呼ばれる熱狂的なファンを持つ「ラーメン二郎」のラーメンは、直系、インスパイア系をあわせて、ほぼ東京とその周辺の首都圏でしか食べることができないが、このようなご当地の味も、全国チェーンの強みを生かして、どの地方でも気軽に味わってもらえるようした。「ラーメン文化の発展に寄与するのではないかという発想で取り組んでいる」(同社)という。

●ラーメンの新しいトレンドを発信し続ける

 花月嵐では、魚介スープのインパクトをラーメン界に与えた「せたが屋」、ラーメンの革命児の異名を持つ竹田敬介氏率いる「肉そばけいすけ」などといった、同業の有名店とコラボレーションしてその店の看板を名乗った商品をリリースすることもある。

 また、新しい期間限定ラーメンが出るごとに、商品にちなんだユニフォームのデザイン、のぼりを一新して、PR大使を立てる。新しいラーメン店がオープンした気分で心機一転。顧客をもてなす。

 花月嵐は根強いファンを持つ定番の「嵐げんこつらあめん」を一貫してブラッシュアップし続けながら、期間限定商品で常にラーメンの新しいトレンドを発信し続ける、継続と刷新が共存したマルチコンセプトのラーメンチェーンとして異彩を放っているのだ。


(長浜淳之介)

最終更新:5/16(火) 7:10

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