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トランプ税制改革案、期待通りの内容でも財源の見通し立たず実現は不透明

THE PAGE 5/17(水) 8:00配信

 これまで具体的な中身がほとんど示されていなかったトランプ政権の税制改革案がようやく姿を現しました。減税の総額がはっきりしておらず、財源の見通しも立っていないなど、まだまだ荒削りな状態ですが、トランプ大統領の主張の多くが盛り込まれました。ほぼ期待通りの内容だったことから、市場には安心感が広がっています。

 大規模な税制改革はトランプ政権の目玉政策であり、トランプ氏の就任以来、株式市場が上昇を続けてきたのも、大規模減税の効果を市場が先取りしていたからです。したがってトランプ政権が打ち出す税制改革案が予想を下回る内容だった場合には株価が大幅に下落するリスクがありましたが、そうした事態はとりあえず回避することができました。

 税制改革プランは、法人税改革と所得税改革の2つで構成されています。法人税改革ではこれまで35%だった法人税率が15%まで引き下げられます。共和党内には20%程度にすべきという意見もあったようですが、トランプ氏が15%にこだわりました。米国はこれまで主要国の中でもっとも法人税が高い国のひとつでしたが、状況は大きく変わりそうです。法人減税が実現した場合には、米国企業にとってはかなり有利な展開となるでしょう。

 もうひとつが個人の所得税です。米国の最高税率は39.6%ですがこれを35%に引き下げるとともに、7段階あった税率の区分を10%、25%、35%の3段階に簡素化します。また、基礎控除の引き上げを行うことで中間層の税負担を軽くします。相続税の見直しや株式のキャピタルゲイン課税の引き下げなども列挙されていますから、総じて富裕層に有利な施策といえます。

 トランプ政権は減税の総額について言及していませんが、一連の施策が実施された場合には10年間で約4兆ドル(約444兆円)程度の減税になるとの試算もあります。そのうちの何割かが消費に回ることになれば、米国の景気にプラスの効果をもたらすでしょう。法人税が減ることで企業の最終利益も増加しますから、その分、株価も上昇するはずです。

 一方で、今回の税制改革については、まだ財源の見通しが付いていません。このままでは国債を増発するしか方法はなく、そうなると財政規律を重視する議会が法案成立を阻む可能性も出てくることになります。とりあえずプランは公表されましたが、実現できるかどうかという部分ではまだまだ不透明です。

 トランプ政権は医療保険制度改革(いわゆるオバマケア)の見直しについて議会の協力を得られず法案成立を断念しました。もうひとつの目玉政策である税制改革が頓挫するということになると、今後の政権運営に関して厳しい状況に追い込まれることは必至です。今回の税制改革案が無事、議会を通過できるのか、トランプ政権にとっては正念場となりそうです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:5/22(月) 6:07

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