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中居がSMAPの最終兵器と語る稲垣は武将・細川勝元になれるか?

夕刊フジ 5/16(火) 16:56配信

 12日放送の「ゴロウ・デラックス」(TBS系)に、文学博士で歴史学者の呉座勇一氏が出演。著書である「応仁の乱 ー戦国時代を生んだ大乱」(中央公論新社)に絡めて、稲垣吾郎(43)を細川勝元に例える場面があった。

■細川勝元は頭もキレる教養人

 この日の課題図書となった同書は、足利義政、義視、義尚と日野富子、細川勝元、山名宗全らの勢力図のみで語られることの多い応仁の乱の流れを、河内(大阪)や山名(奈良)で暴れていた最強の武将・畠山義就を中心にわかりやすく解説し、歴史の研究書として異例の35万部を突破した話題の一冊だ。

 「知名度はバツグンなだけにかえって残念」「スター不在」「ズルズル11年」「勝者なし」「気鋭の歴史学者が地味過ぎる大乱にわざわざ取り組んで話題沸騰」という自虐的なキャッチコピーも関西地方からSNSでじわじわと浸透し、人気を得ている。。

 300人以上の登場人物がいるため「半分くらいまで頑張ろう」と視聴者が読む上でのアドバイスを送っていた稲垣も、呉座先生の特別授業に大興奮。「すっごい面白かった!」と声を弾ませた。

 山名宗全が畠山義就を呼びつけると「危ない危ない、乱が始まる!」、長引く戦争には「早く終わらせよう戦!」、細川勝元と山名宗全が戦争をやめたいといい出すと「最初っからそうすれば…!」とあくまで平和主義な相槌で盛り上げる。その上で「そもそも幕府の命令に従うという発想がない」まま首都(京都)に呼び寄せられた畠山義就を「ゴジラ(「シンゴジラ」)」に、また「結局戦いが好きだった」ということから、機動戦士ガンダムの大好きなキャラ、シャア・アズナブルに例えるなど、苦笑しながらも理解と愛情を示した。

 外山惠理アナウンサー(41)から「もし(応仁の乱が)映画になったとしたら吾郎さんには例えばどんな役が?」と問われた呉座氏は「あくまでイメージなので、怒らないでいただきたいんですけど、強いていうと細川勝元なんじゃないかな」と回答した。そして「勝元って頭もキレて、教養人なんですね。和歌とか絵も得意なマルチタレントで、畠山家の内乱にも、将軍義政の命令を守って加勢しなかった。ところが山名宗全が命令を無視して義就に加勢したため(勝元側だった)政長が負けたため、『勝元は味方を見捨てた』と評判を下げてしまったんですよ」と続けた。

 呉座氏は「稲垣さんが本当はどういう方なのかはわかりませんけど」と、学者らしくあくまで仮説であることを強調しながら、「自分の得になるよう動くみたいな器用なことが出来ないで、バカ正直に言うことを聞いて損をするみたいな、そういうところが近いんじゃないかな…?」と恐る恐る提言した。

 そんな呉座氏の態度に、「僕の何を知ってるんですか(笑)」とツッコみオチをつけた稲垣。しかしあくまで演じるという意味では、これまでもそうしたパブリックイメージを軽やかに利用して、さまざまな役を自分のものにしてきた。そんな稲垣には、クレバーで自分だけでなく全体の得になるよう器用に動くことができる人間だと思わせるエピソードがいくつかある。

■理不尽に従わぬ善性とバランス感覚

 SMAPがまだ“下っ端”だったころ、若き日のジェームス・ディーンのように反抗的だった木村拓哉(44)が“某先輩”たちと反りが合わず、「木村以外のSMAP飯いくぞー!」というある種のイジメのような扱いを受けたことがあった。ジャニーズ事務所は当時、今よりさらに上下関係の厳しい体育会系で、中居正広(44)、森且行(43)、草なぎ剛(42)、香取慎吾(40)らが従わざるを得ないこの空気に戸惑っていると、稲垣は何のことはなく「木村くんが行かないなら僕も行かなーい」と宣言。ほかの4人も「じゃー俺も…」と追従したため、木村も仕方なく誘われた、というエピソードは木村自身がラジオなどで何回か語っている。

 また、SMAPにやっとマネージャーか着いたぐらいの時期、初めて単独で与えられた移動車、通称“SMAPカー”が、合コン帰りでカッコつけようとしたチーマーに指輪のついた腕で殴られ、傷ついたことがあった。血気盛んな森を筆頭に怒ったメンバーは、人通りの多い「六本木のマック(マクドナルド)の前」にもかかわらずわざわざ降りて乱闘騒ぎとなったが、「『警察が来る!』と言って車に戻ろうとして見たら、吾郎だけ何か知らないんだけど助手席でメモ取ってんだよ、あいつ。俺たち熱くなってんのにさ」とかつて中居が語っている。

 このエピソードは、脱退直前の森がゲストに訪れた中居司会の「TK MUSIC CLAMP」(フジテレビ系、1996年5月30日)をはじめ、いくつかの場面でメンバーが語っているお気に入りの思い出。2009年に放送された特番「SMAPがんばりますっ!!」(テレビ朝日系)では、再現VTRまで作られ、本人に当時の心境を尋ねている。

 そこで稲垣は「まぁ、基本的に争いごとがちょっと苦手というのがあったんですけれども…もしこう、ねぇ、警察沙汰だとか問題になった時に、やっぱ状況を報告する冷静な人間が必要なんじゃないかなと思いまして」と述懐。まだ10代半ばながら、そもそも助手席に座っていたという“地の利”もあり、「み、みんな降りてっちゃったよ!みたいな感じで(笑)。ちゃんとメモっとかなきゃ、誰が何しているとか、僕らは悪くないとか、そういうことをちゃんとメモって、何か問題がおきたときに提出しようと思ったんですよ」と語っている。

 このように争いが嫌いなために上の言うことはよく聞くが、理不尽には従わない善性と真っ当なバランス感覚を持つ稲垣は、最小のリスクで全体を正しい方に導き、いい意味で賢くしたたかな一面も併せ持っている。若いころから1人の男性として交際発覚も多かったが、そのわりにアイドルにありがちなファンからのクレームが少なく、交わし方も見事で非難されることもあまりなかった。SMAPがいなくなった今年1月、SMAPの曲を自身のラジオで普通に掛け、ファンの求める「SMAPの変わらなさ」を揺るぎなく提示したもの彼が一番最初だった。

■過半数を決めるキーパーソン

 そんな彼は中居正広をして「SMAPの最終兵器」と評され、また自ら「SMAPの中間管理職」と称した。長期密着した2011年の「プロフェッショナル~仕事の流儀 SMAPスペシャル」(NHK総合)でも「ほかのメンバーと最もよくしゃべる」と証言され、木村にも「僕の唯一の話し相手(笑)」と冗談めかして語られている。その一方、堀越高校の1年後輩にあたる草なぎからは「通学電車で不良に絡まれている吾郎ちゃんを助けたら、僕がケンカしている間に吾郎ちゃんだけ先に降りていた」というなかなかヒドいエピソードも伝わっているのが、そこもまたグループバランスの面白いところだ。

 「自分の好きな自分でいる」という真っ当な自己愛に基づく安定感はメンバー随一。早口で淀みなく放出される細かいこだわりやワガママ。香取曰く「自分でうっかりミスして自分で勝手に怒っている」イラチな一面をメンバーにイジられている印象が強いが、全体を客観的に見渡したポジショニングと気配りで、年齢も考え方も違うメンバーの人間関係とメンタルを稲垣はさり気なく支えてきた。小説家・漫画家から学者・タレントまで、10代でも大御所でもキャリアを問わず、著者を尊重しながらユーモアとウィットに富んだやりとりを見せる「ゴロウ・デラックス」でも、その率直な人柄と実力は垣間見える。

 世襲に基づく権力争いや人間関係の推移、ある種市民運動の最新版ともいえるファンの動きで、歴史家や社会学者からも注目を集める一連のSMAP“解散”騒動。遠い将来を見据え、上からでも下からでもなく、真ん中からよき方向に導くキーパーソンは、マルチな教養と健全な強かさを持つ彼かもしれない。

最終更新:5/16(火) 16:56

夕刊フジ