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19世紀後半の絵本文化堪能 千葉市美術館でウォルター・クレイン展

産経新聞 5/16(火) 7:55配信

 19世紀後半に英国で活躍し、現代絵本の基礎を築いた重要な画家の一人とされるウォルター・クレイン(1845~1915年)の作品を集めた企画展が、千葉市中央区の千葉市美術館で開かれている。クレインの作品を網羅的に集めた作品展は世界的にも珍しいとされ、同美術館は「絵本文化を堪能してもらいたい」と話している。

 クレインは子供向けの本の画家として有名となり、生涯にわたって挿絵画家として数々の傑作を残した。また、多色刷りの木口木版の技術を開発した彫版師のエドマンド・エヴァンズに見いだされ、2人で多くの作品を残したことで知られる。その後、室内装飾デザイナーとしても活躍した。

 企画展は「絵本はここから始まった」の副題の通り、本の仕事を中心にクレインの作品約140点を展示。クレインによるほぼすべての絵本と主要な挿絵本を網羅的に集めており、芸術性に価値を置いて絵本作りに励んだクレインの仕事ぶりを紹介している。

 展示作品の中には、ディズニー映画などで人気の「シンデレラ」「美女と野獣」「眠り姫」など、さまざまな童話をモチーフとして描き上げ、日本人にもなじみ深い作品も。実物を見ると、装飾的で華やかな色彩の中にも精緻に描き上げた筆致が浮かび上がり、クレインの息づかいが伝わってきそう。

 また、強い輪郭線や、黒を一つの色彩として活用するなど、浮世絵の影響を受けたと思われる表現手法の変化も、展示作品を一通り見学することで読み取ることができる。

 クレインの代名詞ともなっている「フラワー・シリーズ」のきっかけとなったとされる作品集「フローラの饗宴」も、40点に及ぶ絵を一挙に展示。花の女神フローラが、冬の眠りから花々を次々と呼び覚ましていく様を描いた大作は、リトグラフの流れるような線描により柔らかい色彩で描き上げており、それまでの絵本の挿絵と表現手法が異なっていて興味深い。

 本格的にクレインを日本で紹介する初めての機会といい、同美術館は「母国の英国でも、クレインの単独展は珍しい」としている。その上で、「19世紀後半の英国で華麗な花を咲かせた絵本文化を堪能してもらいたい。当時の木口木版技術のすばらしさも注目してほしい」としている。

 28日まで。午前10時~午後6時(金・土は午後8時まで)。一般1200円、大学生700円。

最終更新:5/16(火) 7:55

産経新聞