ここから本文です

<魚醤「最後の一滴」>高校生が考案、ハラール認証

毎日新聞 5/16(火) 14:10配信

 新潟県立海洋高校(糸魚川市)の生徒が考案したサケの魚醤(ぎょしょう)「最後の一滴」が、イスラム教徒も安心して食べられる「ハラール」食品としてマレーシア政府に認証された。ハラール取得の動きはイスラム圏の経済成長に伴って国内の食品会社などで広がりつつあるが、宗教上の理由から厳格な品質管理が必要で、学校の取得は極めて珍しい。開発に携わった生徒や卒業生らは、認証を機に「最後の一滴」をイスラム圏に輸出していきたい考えだ。

 ◇イスラム圏輸出目指す

 ハラールとは「許された」「合法的」を意味するイスラム法上の言葉で、アルコールや豚由来の成分を含まないなどイスラムの戒律に沿って作られていることを指す。認証団体は国内のNPO法人など複数あるが、同校は、国際的な信用が高いマレーシア宗教庁から取得した。イスラム教徒の多い同国に認証されると、中東など幅広いイスラム圏に輸出しやすくなるという。

 取得のきっかけは、同校が2015年度から取り組むイスラム市場の研究だった。オイルマネーや人口増で成長著しいイスラム教国には、マレーシアなど魚介類を日常的に食べる文化の国も多く、日本の海産物も受け入れられると判断。学習会などでハラールへの理解を深めてきた。

 同校同窓会も取り組みに賛同。同窓会が運営し生徒が利用する水産加工所「シーフードカンパニー能水商店」に、他の動物性油脂が混入しないよう新たな生産ラインを設けるなどした結果、マレーシア宗教庁の検査官から「お墨付き」を得た。

 地元特産のサケを余すことなく活用していることから「最後の一滴」と命名した。100ミリリットルが消費税込み840円、200ミリリットルが同1225円。生徒たちは東南アジアを皮切りに輸出していく考えで、食品研究部の門脇巧弥(かどわきこうや)部長(2年)は「継続的な注文がもらえる取引先を開拓したい」と意気込む。【浅見茂晴】

 ◇ヒット商品誕生も

 高校生による商品開発は、実学を学ぶ方策として商業、農業、水産系を中心に授業や部活動に取り入れており、斬新なアイデアでヒット商品や特許商品が生まれる例も。

 三重県立相可(おうか)高校は「生徒が農作業の授業中に使えるものを」と地元特産の伊勢茶を配合したハンドジェルや日焼け止めなどを2010年から発売。開発した10種の商品は累計1億本を売り上げ、収益の一部を生徒が地域貢献活動に使っている。広島県立世羅高校が10年に開発した地元産の梨の果汁入りスポーツドリンクは、同校が高校駅伝の強豪校であることから話題となり、発売から半年で約10万本を売り上げた。秋田県立金足農業高校のヤマビルよけスプレーは、ヒルが嫌がる成分を生徒たちが独自に開発し、特許まで取得した。

 コンビニエンスストアと共同で商品開発する高校も多く、ファミリーマートの広報担当者は「若者ならではの発想がある」と期待する。【堀祐馬】

最終更新:5/16(火) 15:12

毎日新聞