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綱渡りの東芝、半導体売却に暗雲 対WD泥沼化、日米連合の名乗りは富士通のみ

産経新聞 5/16(火) 7:55配信

 東芝による半導体メモリー事業の売却手続きが難航している。合弁相手で他社への譲渡を認めない米ウエスタンデジタル(WD)との対立が行く手を阻み、理想的な売却先と期待する日米連合にも課題が山積している。売却で平成30年3月末の債務超過解消を目指す同社にとって、綱渡りの経営が続く。(井田通人)

 東芝は4月1日に半導体メモリー事業を分社化して「東芝メモリ」を設立し、入札を進めている。売却候補にはWDのほか、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)や官民ファンドの産業革新機構から成る日米連合も残っている。

 19日に二次入札を締め切り、6月中に売却先を決める予定だ。しかしWDは、売却が合弁契約に違反していると主張。東芝は、WDの同意が必要ないとする警告書簡を3日に送付して対抗した。10日には、綱川智社長がWDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)と面会したものの、「ひたすら自分たちの主張をするだけ」(東芝幹部)に終わっている。

 WDは14日、売却差し止めを求める申立書を国際仲裁裁判所に提出、強硬手段に打って出た。東芝も、共同運営する四日市工場でWD社員の立ち入りや、コンピューターへの接続を16日にも遮断する予定で、対立は泥沼化の一途をたどる。

 綱川社長は15日の会見で「WDが(もともとの協業相手だった)米サンディスクを昨年買収した際にも東芝の合意は不要だった」と強調。予定通り19日に二次入札を締め切る方針を示した。だが、今後、仲裁手続きが売却交渉の足かせとなる恐れは否めない。

 一方、日米連合にも暗雲が漂う。一部で検討されてきたWDの合流案は、対立の深まりで実現が難しくなった。経済産業省と経団連は、日本企業に日米連合への参加を呼びかけているが、出資を検討する意向を表明したのは富士通のみ。「次世代の国富を担う産業を創出する」という基本方針を掲げる革新機構は、一定数の企業の参加がなければ、支援は難しくなる。

 足元の半導体メモリー市況は上向いている。このため手続きが長引いても企業価値が上がり、かえって好条件を引き出せるとの見方もあるが、債務超過を解消できなければ上場廃止となり、企業の存続自体がおぼつかなくなる。

最終更新:5/16(火) 10:05

産経新聞