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一帯一路 米国は国益優先、指導力拡大を容認

産経新聞 5/16(火) 7:55配信

 【ワシントン=小雲規生】中国が現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を推し進めるなか、トランプ米政権は「米国第一」へのこだわりを強めている。その表れのひとつが11日発表の貿易などをめぐる米中合意。米国が中国市場へのアクセスを得る一方で、中国の国際社会における指導力拡大を容認する内容だった。ただし中国が国際協調を尊重しないのではないかという疑念は拭えず、トランプ政権に内向きな姿勢からの脱却を求める声もある。

 米国はオバマ前政権下では一帯一路やアジアインフラ投資銀行(AIIB)から距離をとり、中国の影響力拡大を牽制(けんせい)。また日米など12カ国で合意した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)にも中国に国際貿易のルールを作らせない狙いがあると公言してきた。

 しかしトランプ政権下では様相が一変した。11日の米中合意は米国が中国の牛肉や金融サービスの市場開放を勝ち取ることと引き換えに、「米国は一帯一路の重要性を認識する」と明記して中国の指導力を歓迎する内容。米国は今回の国際協力サミットフォーラムにも代表団を派遣した。ロス商務長官は「米中関係は特に貿易面で史上最高の良好さだ」と言い切る。

 一方、トランプ氏は中国の鉄鋼の過剰生産問題など米国経済に大きなダメージをもたらす問題では中国への譲歩は示していない。しかしTPP離脱や国務省の海外援助予算の削減方針などからみても、米国としての国際社会での指導力発揮よりも米国の利益を優先させる意思は鮮明だ。

 トランプ氏には北朝鮮の核問題への対処のためには中国の協力が必要だという計算もあるが、各国の間では中国が国益追求のために国際社会の規範を破ることへの懸念は根深い。米シンクタンク、ブルッキングス研究所は4月の中国の国際経済戦略についての報告書で「中国の狙いを慎重に見極めなければならない」として、トランプ政権に監視の目を光らせるよう促している。

最終更新:5/16(火) 9:29

産経新聞